アサブロに入ってみる2005年03月17日

長年利用しているASAHIネットがいよいよブログを開始することになった。私も他のところでブログを1つ開設しているが,それもASAHIネットでブログが立ち上げられなかったためだった。要望を出したのが応じてもらえて嬉しい限りだ。

ベータ版試用者がこっそり募集とあったので,早速申し込んで開設した。タイトルの由来は次回にでも説明するつもり。とりあえずお試しということで作成してみた。どうだろうか?

私的独占2005年03月19日

 フジテレビに対する新株予約権付与を巡る取引打切り示唆の件について,公取委員長が独禁法上問題ない旨国会で答弁したようですね。
 公取委委員長「フジテレビの取引打ち切り示唆は問題なし」(NIKKEI NET)
 公正取引委員会の竹島一彦委員長は9日の衆院経済産業委員会で、フジテレビジョンがニッポン放送に対し、ライブドアの傘下となった場合に取引を中止する意向を示していることについて、「取引は自由で、放送業界の市場で競争の制限も発生しない」と述べ、独占禁止法違反にはならないとの見解を示した。民主党の近藤洋介氏の質問に対する答弁。
 独禁法では市場での競争に影響を与える行為が問題視される。竹島委員長は取引の自由を尊重する考えを示したうえで、「フジサンケイグループ以外の他グループまでニッポン放送との取引を中止するようなことがあれば、独禁法上の問題になる」と述べた。
 上記記事によれば,公取は今回の件について,株式取得の可否というのではなく,ライブドア傘下に入った場合の取引拒絶の可否の問題としてとらえているようですね。そう考えれば取引先選択は自由だ!という原則が出てくるので委員長答弁のようになるのでしょう。事務総長の会見要旨(PDF)を見ると,新株予約権の付与について,
ニッポン放送について,そういうことが余儀なくされるようなことがあったとは理解しておりません。ニッポン放送としての判断で物を言っておられるのだと思います。
と述べていますから,新株予約権の付与はあくまでもニッポン放送の自発的意思であり,フジサンケイグループからの押しつけ=優越的地位の濫用ではないと見ているようです。

ところで,その公取ですが,インテルに対して私的独占があったとして排除勧告を命じましたね。(PDF)

私的独占に当たるとされた行為は,インテルが国内パソコンメーカー5社に対し,それぞれ,

  •  その製造販売するパソコンに搭載するCPUの数量のうちインテル製CPUの占める数量の割合(MSS)が100%であること
  •  MSSが90%以上であること
  •  生産数量の比較的多い複数の商品群に属するすべてのパソコンに搭載するCPUについて競争事業者製CPUを採用しないこと
  • のいずれかを条件として,金銭の割戻し又は資金提供を行う旨約束することで,その製造販売するすべて若しくは大部分のパソコン又は特定の商品群に属するすべてのパソコンに搭載するCPUについて,競争事業者製CPUを採用しないようにさせる行為

    というもののようです。

    要は,取引に当たり,
    俺のところのCPUだけを使い,他社が作ったCPUを使わなければ1個当たり●円を割り戻して(返金して)やる。他社のCPUを使ったら割戻しは無しだ。
    とか,
    俺のところのCPUをおまえの製造するパソコン中のCPUの数量のうち少なくとも90パーセント以上使えば,1個当たり●円を割り戻してやる。他社製品の数量が10パーセントを超えたら割戻しは無しだ。
    とか,
    おまえのところの売れ筋のF●V●ibloシリーズで他社製CPUを使っているが,それを全部俺のところのCPUにして他社製を使わないこととしたら1個当たり●円を割り戻すこととする。今のままだったり他社製品を使うようになったら割戻しは無しだ。
    という条件をつけ,他社製品を排除するというものです。

    インテルは,「値引きの要請はメーカーからもあった」「値引きはあくまで目標であってメーカーに押しつけた義務でわけではない」(押しつけた義務ではない,ということでしょうか?)と言っているようですが(上記記事のGoogleのキャッシュはこちら),目標に達しなければ値引きしないということであれば,目標達成を条件とした値引きです。

    外資系企業に対する措置については一般に日本の官公庁は慎重ですから,公取は文字通り慎重に検討した上で勧告しているものと思います。今後の手続で違反事実無しとなることはまずないでしょう。

    この勧告について新聞では,「パソコン業界は静観 競争の値下げ、期待薄」(毎日新聞)と言ったように,状況がそれほど変わるわけではないような論調があります。しかし,私的独占というのはカルテル(不当な取引制限)と並ぶ,いやそれ以上の重大な違法行為で,刑事罰(法人は最高5億円)の対象にもなるものです(ただし,公取による告発が必要)。同様の行為を繰り返せば,次回摘発された際には刑事告発という事態も十分に考えられます。「課徴金の対象にならない。」からといって「勧告が確定したとしても,インテルが国内の販売戦略を大きく見直すとは考えにくく」(讀賣新聞)とは言えないのではないでしょうか。

    排除措置が有効に作用した場合,今後注目すべきは国内のパソコンメーカー,そして競合するCPUメーカーの動きだと思います(日本AMDはコメントを発表していますね。)。国内パソコンメーカーが,積極的に競合社のCPUを購入するのか,また,CPUメーカーの側もパソコンメーカーを惹きつけるだけの魅力的な商品を開発できるかといったことが今後の鍵となるのでしょう。

    私たち消費者も,既存のブランドイメージにとらわれることなく,自分の仕事や趣味に差し支えない範囲(私としてはWindows以外のOSも動作してほしい。)で選択肢を広げて商品を選ぶことが必要なように思います。

    選手の代理人から球団の取締役へ?2005年03月27日

    横浜ベイスターズの取締役に弁護士が就任するらしい。

    新取締役に弁護士の遠山氏デイリーベイスターズから)

    横浜ベイスターズは25日、定時株主総会と取締役会を開き、新たな取締役として弁護士の遠山友寛氏(55)が選任された。

               (中略)

    峰岸進球団社長によると、同事務所が斎藤隆投手らと代理人契約を結んでいるなどスポーツビジネスに明るいことに注目。球団の法的環境整備も必要という認識から「しっかりとした球団にしたく、昨年から話を進めてきた」という。

    球団株主であるニッポン放送の株を巡るライブドアとフジテレビジョンの対立などを受けた企業防衛策の一つとも見られるが、同社長は「企業防衛というよりも、一つには順法という目的がある。ただ、すぐに相談に乗ってもらえると思う」と話した。

    社外取締役として弁護士を迎えること自体はいいとは思うのだが,斎藤隆投手と代理人契約を結んでいる事務所の弁護士がなるのって,弁護士倫理(今は「弁護士職務基本規程」という。)上問題はないって言い切れるのか?

    社外取締役とはいっても,球団の取締役となった以上,今後は斎藤隆投手の代理人として球団との間の交渉を行うことはまず無理だろう。もちろん弁護士は斎藤投手との代理人契約を終わらせてから取締役になるのだろうから,直ちに利害相反とは言えない。しかし,代理人を失った斎藤投手にかなりの不利益とならないか?契約更改は1年ごとの仕事だからOKということなのだろうか。

    弁護士としての行動の是非のほか,会社(球団)が労働者(選手)の代理人を自社の取締役として引っ張ってくることが,労働法が適用される場面であればどうなるのか,球団と選手との間の関係ではどのように評価されるべきものなのかということがもっと慎重に考えられてよいのではなかろうか。