貸金業者のCMはやめてほしい2005年04月15日

 テレビや新聞・雑誌で「違法高金利業者」という言葉を耳や目にすることがある。この「違法高金利業者」という言葉だが,いわゆるヤミ金融を指す言葉であって,この言葉が指し示す中にはいわゆるサラ金業者は含まれていないようだ。  しかし,サラ金業者が広告で提示している金利も,利息制限法という法律で定められている利率を上回っているものであり,そのような利率の利息を取り立てることは「違法」なものだ。

利息制限法

第一条 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は,その利息が左の利率により計算した金額をこえるときは,その超過部分につき無効とする。

 元本が十万円未満の場合   年二割

 元本が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分

 元本が百万円以上の場合 年一割五分

 法律上は無効とされているが,そのような金利で計算した利息を取り立てることは「違法」なのだ。だからこそ,弁護士が代理人として就任したという通知を発送すると,貸金業者は,利息制限法所定の利率で計算した額での和解に応じてくる。

 また,利息制限法所定の利率を超えた利率を借主が支払った場合,利息としては無効だからということで元本に充当される。更に充当が積み重なって元本が無くなったら,それ以降に支払われたものは貸金業者が不当に利得した金員=過払い金として,借主からの返還請求の対象となる。これが確定した判例だ。

 しかしこのような法律上の扱いを通常の借主は知らないから,借りたものは返さなければ,と,契約所定の利息を支払ってしまう。貸金業者の方も,契約通りの利息の支払を当然のごとく請求する。さらに,貸金業者としては,長く借りていてもらう方が利払い額が多くなって儲かるから,「利息だけでいいですよ。」などと言って利息制限法の定めを超えた利率の利息を受け取り続ける。「利息だけ」なんて優しくしているように聞こえるが,実際には,法的に支払う必要のない分も含めてお金を払ってね,と言っているのであり,正当な債権の行使とはとても言えないものだ。こうした行為を日常的に繰り返す貸金業者は違法業者では無いのだろうか。

 「高金利」についても,出資法上限の29.2パーセントという金利は,住宅ローンが1~2パーセント台というこの低金利の御時世,高金利以外の何ものでもないだろう。

 こうしてみてくると,利息制限法所定の利率以上の利率の利息を取る貸金業者は十分に「違法高金利業者」と呼ばれるにふさわしい存在だ。メディアが「公共性」をうたうのであれば,こうした貸金業者のCMを流すのは直ちにやめるべきである。

 ところで,貸金業最大手の武富士のCMが近々復活する予定であるという。武富士が冠スポンサーとなっている米国女子ゴルフ大会の放映がきっかけということのようだが,そんな大会は放映お断りというくらいの英断を下して米国のツアー団体にスポンサー選定の再考を促すくらいの意気込みをテレビ東京はもてなかったのだろうか?

 このCM復活に関しては,第24回全国クレジット・サラ金・ヤミ金・商工ローン被害者全国集会の決議の言うとおり,マスコミは広告掲載を断るべきであると思う。