新人弁護士にも契約諾否の選択権が認められるのでしょうね ― 2006年08月14日
日弁連執行部が日本司法支援センター(法テラス)との契約に関して流したファクシミリが話題になっていますね(本文末にリンク掲載)。
現在弁護士になっている人は契約の諾否の権利があります。それは今後弁護士になる人にとっても同じはずです。
ところが,弁護士会によっては,新人弁護士に国選弁護の受任を研修として義務づけているところがあります。私の属している弁護士会もそうです。そうすると,研修を受けるために国選弁護を担当する際に,日本司法支援センターの契約弁護士にならなければならないのでしょうか?
新たに弁護士になる人の中にも,日本司法支援センターと契約することを良しとしない信条の人がいるでしょう。そうした人に対して,国選弁護はすべからく日本司法支援センターと契約しなければならないのだからと契約を強制するのは契約締結の自由,営業の自由,思想良心の自由を侵すもので許されないのではないでしょうか。
弁護士会内の議論では,仕組みがそうなっているのだから契約すべきは当然という声もあるようですが,事は思想の問題にかかわる以上,そうやすやすと言ってもらっては困ります。
穿った見方をすれば,新人研修としての国選弁護に当たって司法支援センターとの契約を義務づけることにより,司法支援センターとの契約率を嵩上げしようというもくろみが執行部にあるのかもしれません。でも契約率を上げることで弁護士会が得ることって何なんでしょう?司法支援センターと契約する弁護士が増えないのであれば,それは司法支援センターのあり方に問題があるのであり,その改善のためにはボイコットや会営センターの設立など対抗措置を取るようにすればよいのにと思います。
新人弁護士の意思をきちんと尊重する仕組みを作っておくべきでしょう。
リンク先
決まってしまったものは仕方がありません。(ろーやーずくらぶ)
決まってしまったものは仕方ありません?!~刑事弁護名簿問題で登録した弁護士が発言!!( 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士)
ほっといてくれ(奥村弁護士の見解)
日弁連からチラシが来た(法テラス・支援センター勧奨)(Barl-Karthの日記)
10月から国選事件どうなる?(田舎弁護士の弁護日誌(四国・愛媛))
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_ 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士 - 2006年08月14日 06時42分08秒
これに対し,日弁連は,契約推進運動を強烈に展開している。本日配布された日弁連速報には,「各地ですすむ 司法支援センター対応態勢整備」という大見出しが踊り,「山口県では会員全員が契約するよう呼び掛ける臨時総会宣言」「埼玉では申し合わせ書」などの小見出しがちりばまれている。
しかし,その実態はお寒い限りだ。札幌弁護士会が,会員が契約をした理由を「刑事登録ニュース」なるものに掲載していることを紹介したうえ,その理由の一部を転載しているが,まったく合理的な説明はできていない。
「契約を拒否してみても,誰かが刑事弁護を担わなければなりません。契約を拒否することは,現状では刑事弁護を拒否することにもなってしまいます。決まってしまったものは仕方ありません。とにもかくにも契約をした上で,司法センターの抱える様々な問題点については,内部から変えていくしかないと思います。まだ,登録されていない先生方もまずはご登録頂いた上で,変えるべき点は声をあげて変えていきましょう!!」
◆決まったものは仕方ない!これが弁護士が口にするせりふだろうか?戦前,弁護士会が戦時体制に組み入れられたことの反省はないのだろうか?決まっていても,おかしいものは変更させるべきである。制度設計する時点で,問題を残しておいて後で変更できるという「理由のない主張」ができるのはなぜなのか。期限をきって条件を明記して登録しようというならまだしも,白紙で登録するようなマネを勧めるようでは,本気で変えようと思っているとは思えない!
「制度がどのように変わろうとも,被疑者・被告人の利益を守る職責を担うのが個々の弁護士であることについては,従来から何の変化もありません。制度のあり方について各弁護士が様々な意見を
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