公取委、資格学校3校に警告・合格者数「水増し」表示で2006年10月13日

資格ばやりの昨今,優良誤認表示とされる基準も厳しくなってますね。

公取委、資格学校3校に警告・合格者数「水増し」表示でNIKKEI NET

大手資格試験予備校が公認会計士などの試験対策講座のパンフレットの合格実績に短期間の講座を数回受けただけの人も含めて表示していたのは景品表示法違反(優良誤認)の恐れがあるとして、公正取引委員会は12日、TAC(東京)、大原学園(同)、早稲田セミナー(同)の3校に警告した。

公取委によると、TACは2005年12月―今年6月に配布した公認会計士試験講座のパンフレットに、05年度試験の会員合格者数を「1079名 合格者に占める割合82.4%」と表示。この中には短期間の講座を数回受けただけの人や数年前の受講者も含まれていた。税理士試験講座のパンフレットでも同様の記載をしていた。

大原学園は税理士試験講座の、早稲田セミナーは公務員試験講座の各パンフレットで同様の表示をしていた。公取委は、各校とも正規の受講の成果とは認められない人が合格者数に2割程度は含まれていたとみている。

各校はすでに指摘されたパンフレットの使用を中止しており、「警告を真摯(しんし)に受け止め、今後は適正な広告表示に努める」などとコメントしている。 (22:44)

昨年東京リーガルマインド(LEC)に対して下された排除命令(PDF)では,司法試験口述試験会場までの送迎バスを利用した者,論文試験回答等の資料の提供を受けた者,受験願書の提供を受けた者等についても

会員として司法試験受験講座をご利用

した者の人数に含められていたことが問題とされており,排除命令の対象となった行為が違法なことは明らかでした。

それに比べると今回警告を受けた行為は,短期間のものにすぎないとはいえ講座受講者を含めたというだけのものなので,違法なのかどうか微妙なところです(そうであるからこそ警告にとどめているともいえますが。)。

本件に関する公取の新聞発表文(PDF)を見てみると,各社の違反被疑行為の概要に(注)として,各社がパンフレットで,合格者数には模擬試験のみの受験者や書籍購入者,情報提供登録者を除く旨うたってあることがふれられています。このようにわざわざうたったことで,模試受験者と同列に扱われるべき短期講座受講生も合格者数には含まれないとの誤認を消費者に生じさせるおそれがあるということで,かなり踏み込んだ認定を公取はしたという感を受けます。

ただ,公取はLECに対する排除命令に併せて,資格試験等の受験指導を行う主要な事業者に対して以下のような要望を出しており,本件各社の行為はその要望にもろに反するものでした。

3 要望の概要

資格試験等受験のための講座の受講生募集を行う際の広告表示において,次のような例が多く認められ,このような表示は,一般消費者の認識に沿った適切なものとは認め難いため,資格試験等の受験指導を行う主要な事業者に対し,景品表示法違反行為の未然防止の観点から,表示基準を策定するなどの表示の適正化を図るよう要望した。

(1)自らの合格実績として表示している合格者数,合格者数の比率等について,短期講座の受講生,公開模擬試験のみの利用者等,主要な講座を受講していない者を含めている。

(2)合格者について,単に自らの会員や利用者である旨のみを示し,利用した講座等の範囲を示していない。

本件各社が上記の(注)で指摘されたような記載をしたことが,LECと同じようなことさえしなければ排除命令は受けない,公取の要望を無視してもかまわないという意識の現れと公取にとらえられ,公取の逆鱗に触れたということが今回の警告の背景にあるのかもしれません。