紙のリサイクル~選択型実務修習に同行して ― 2007年09月13日
今日は朝から夕方まで,所属弁護士会の選択型実務修習に同行してきました。
その内容は,古紙を使用して紙を作る製紙工場,古紙回収業者及び東京都のゴミの最終処分場を見学するというものです。
スケジュールをアレンジした弁護士の話では,当初は回収業者→製紙業者→最終処分場の順で見学する予定だったところ,見学先の事情で上記のような順番になったとのことでした。
選択型実務修習というのは,司法修習生がホームグラウンドとなる弁護士事務所に所属しながら,裁判所・検察庁・弁護士会の提供するプログラムを選んで受講するというものです。新司法試験合格者の修習生については,一度に全てを研修所に受け入れることが困難となることが今後予想されることから,実務修習後の期間を2つに分け,そのうちの半分は研修所ではなく実務修習地にいることとなったのです。
弁護士会から会内の各委員会に,この選択型実務修習のプログラムを提供するよう指示があり,私の属する委員会では,環境問題についての講義のほか,自分たちが法曹になったときに頻用する紙のリサイクルについての現状を知ってもらうという目的で,今回の修習が企画されました。
最初に行ったのは製紙工場。江戸川区にあり,付近が宅地化して,パルプからの製紙が難しくなった(強いにおいが発生するため)ことなどもあり,古紙からの製紙に特化したとのことです。
以前は難しいと言われていたラミネート付きの紙のリサイクルや,ファイルに取り付けたままの状態で持ち込まれる紙のリサイクルも行っているとのことでした。
次に行ったのはゴミの最終処分場。
ゴミは,以前(1997年以前)は出されたものを(不燃ゴミは)そのまま埋め立てていたのが,現在ではいったん破砕,焼却した後に埋め立てるようにした結果,年間当たりのゴミの量は減少しているとのことでした。ただし,今のペースでも,40年後には埋め立て可能な地はすべて埋まってしまうということです。案内してくれた施設の職員の方は都民の意識の重要性を力説されていました。
処分場の中をバスで回ったのですが,ゴミの中にたまるメタンガスを抜くため,あちこちにパイプが建てられているのが印象に残りました。
処分場内の電気は,このメタンガスでガスタービンを回すことにより発生する電力ですべてまかなっているとのことです。
最後に行ったのは板橋の古紙回収業者の工場。持ち込まれた古紙を圧縮する現場を見学しました。
国内での紙のリサイクル率は70%ほどで,国内では供給と需要のギャップが年間400万トンほどあるとのことです。この余剰分は現在需要が旺盛な中国などへの輸出に当てられているとのことでした。恐るべし中国。
紙のリサイクルについては,輸送や再生時に使われる石油エネルギーの多さから環境負荷の軽減にはつながらないのではないかとの指摘もあるようですが,森林資源の保護やゴミの削減といった点からはやはり積極的に進めなければいけないのではないかと感じさせられた1日でした。
それにしてもこの選択型実務修習,各委員会が知恵を絞ってプログラムを考え,委員会によっては外部から講師を招聘してまで準備したようなのですが,修習生の参加者が少ない(環境委員会のプログラムの参加者は5名でした)のは残念です。参加された修習生の感想が概ね好評だったのはよかったのですが,弁護士がこれだけの労力をかけて準備する必要性について来年以後検討する必要を併せ感じました。
第2回新司法試験,1851人が合格 ― 2007年09月14日
「道路は誰のためにあるのか」シンポジウムのお知らせ ― 2007年09月18日
町作りの一環として道路のあり方を考えるシンポジウムが,日弁連人権擁護大会のプレシンポジウムとして開かれます。
日本において「交通権」が認められる嚆矢となればよいのですが。
日弁連人権擁護大会プレシンポジウム
くるま社会を考える~「道路整備中期計画」は、住み続けたい未来のまちづくりを示せるか?
深刻さを増す地球温暖化問題、過去20年間で約1.5倍に増えた交通事故、中心市街地の空洞化とコミュニティ危機、公共交通機関の衰退による高齢者や障害者の移動の困難、緑地・水辺空間の喪失。現代の都市が直面している問題を考えるとき「くるま社会」=モータリゼーションの問題を避けては通れません。
現在、国交省は、政府・与党の「道路特定財源の見直しに関する基本指針」に基づき、年内を目処に、今後のわが国の道路整備の姿を示す「道路整備中期計画」の作成を進めています。
一方、環境省は、3月発表の、「地球温暖化対策とまちづくりに関する検討会報告書」の中で、これまでの道路整備が都市機能を拡散させたり、さらなる自動車交通の増加を招く原因になっているとして、道路整備について、方向転換が必要であると指摘しています。
また、LRTなどの公共交通の整備や、自転車道の整備など、自動車以外の交通手段の充実を求める市民の声も高まっています。
従来型のくるま社会を維持するか、あるいは、住み続けたいまちづくりのビジョンを力づよく示すことができるのか。この道路整備中期計画が、私たちの社会のゆくえに重大な影響を与えることは明らかです。
各界を代表する論者を招き、現在の議論の問題点と、目指すべき方向性について徹底討論します。
報告(道路中期整備計画について) (報告者交渉中)
パネルディスカッション
パネラー 太田勝敏氏(東洋大学大学院教授,東京大学名誉教授)
福井健策氏(弁護士 第二東京弁護士会公害対策・環境保全委員会委員)
上岡直見氏(環境自治体会議政策研究所主任研究員)
パネル司会 石黒 徹氏(弁護士 第二東京弁護士会公害対策・環境保全委員会委員)
日時 2007年10月15日 午後6時~8時30分
場所 弁護士会館 10階1003号室(東京メトロ霞ヶ関駅下車)
日弁連を壊すことに手を貸しているのではないか ― 2007年09月18日
「明日の司法と日弁連を創る会」発足式のご案内というファクシミリが事務所に届きました。
どうやら大阪弁護士会から次の日弁連会長候補を出そうとしているようです。
しかし,その「創る会」の口上が
司法改革を推進してきた日弁連の成果を踏まえ、これを正しく継承・発展させ、弁護士が社会の隅々まで存在し活躍する社会を作るため、多くの難しい課題に対し引き続き挑んでいく必要があります。
っていうのは,いかがなものかと思います。
「司法改革」の成果として今までどのようなものが現れてきたのでしょうか。
- 司法試験合格者激増による就職難
- 当初予想された合格率と現実との格差に見られる,新法曹養成制度の迷走 (もっとも,新法曹養成制度の根源的問題は,産経抄で「なにより、授業料の高い大学院の存在が、かえって、“久利生検事”や大平弁護士のような異色の人材の排除につながらないのか。」と指摘されるような,法曹からの多様性の排除(スクーリングによる時間的拘束と金銭的負担に耐えられる人しか法曹になれない。)という点にありますが。)
- 国民の7~8割が反対している裁判員制度
いずれも,「司法改革」が誤りであったことを示すものではないでしょうか。
「司法改革」の推進は司法と日弁連の破壊にしかならないと思います。
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