ガソリン税暫定税率撤廃に同調 社民国対委員長2008年01月14日

暫定税率撤廃か道路建設維持かの二者択一しかないんでしょうか?

ガソリン税暫定税率撤廃に同調 社民国対委員長asahi.com

社民党の日森文尋国会対策委員長は13日のNHK番組で、民主党が打ち出したガソリン税の暫定税率撤廃方針について「原油が高騰して国民が厳しい生活を強いられている。暫定税率は廃止する方向で検討し、(党として)そういう結論を出したい」と語り、同調する姿勢を示した。共産党も撤廃の方針で、参院での関連法案否決に向けて民主、共産、社民3党の足並みがそろう方向となった。

自動車に依存した生活の見直しという観点はないのでしょうかねえ。

生活苦に対しては,定率減税の復活,生活に必要な範囲での交通費相当額の補助などの途もあるでしょう。

第二東京弁護士会では,「道路特定財源見直し」に関する意見書(PDF)を公害対策・環境保全委員会委員長名で公表し,また,「道路整備中期計画」に関する意見書(PDF)を会長名で公表しています。

道路特定財源見直しに関する意見書では,

  • 道路特定財源の廃止
  • 財源使途見直しに際して,自動車利用がもたらす公害被害者・交通事故被害者救済及び環境悪化対策,並びに,公共交通機関や歩道・自転車道の整備・補助といった交通体系全体の健全な発展に十分な予算が割かれるよう制度設計すべきこと
  • 財源諸税の暫定税率は当面現行水準を維持した上で,自動車利用がもたらす公害被害や環境負荷などの社会的費用は自動車利用者が負担するという「原因者(汚染者)負担」の観点から再検討されるべきこと

を提言しています。

また,「道路整備中期計画」に対する意見書では

  • 温暖化効果,交通事故,公害環境面などの,道路整備の社会的費用の検証
  • 社会的費用検証に当たっての,自動車交通抑制策(TDM)への転換
  • 道路整備中期計画策定に当たっての検討を,省庁横断的に行うべきこと

を提言しています。

これまで同様の道路建設をほぼ維持するという主張はおかしなものであり,税金の使途を道路特定財源という形で限定する仕組みは廃止すべきです。

しかし,自動車利用者が原油高で困るからガソリン税の減税を行うというのは,自動車の利用状況が現状のままでよいことを前提としたもので,自動車の社会的費用や,総合的な交通政策を全く考えていない暴論です。

暫定税率をいったん廃止してしまえば,自動車利用者に対して再度の負担を求めることは極めて困難となるでしょう。暫定税率の廃止は,自動車利用の維持どころか,自動車の利用を現状以上に促進することになりかねません。

今以上に自動車利用を促進する必要が果たしてあるのか,暫定税率存廃については自動車利用に伴う費用について十分に考慮した上で慎重に検討する必要があるのではないでしょうか。

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