代理出産の依頼・仲介と刑事罰2008年01月26日

代理出産について刑事罰つきで禁止することについては,以下のような疑問が出されています。

1 保護法益(法規制により守ろうとしている利益)は何か。

2 禁止した場合に海外で行われることについて,どのように対処するのか。

1について  保護法益については,代理出産者の生命,身体ということになります(このほかにもプライバシーや意思決定の自由というのも保護法益として考えられますが,今回は生命,身体への危険という点に限ります。)。

出産の危険性については,一般の出産の場合と比べてどうかという点について議論はありますが,母体に対する危険を生じさせるものであることは否定されていません。

このように代理出産は,代理出産者の生命身体に危険を及ぼす行為ですから,他人である代理出産者にそのような危険を殊更に負わせることを防止するため,代理出産を禁止することは正当化できるでしょう。

刑罰を科す対象としては,代理出産者自身についてはいわば被害者としての立場にあるから科さないこととし,一方,依頼者や,かかわった医師,仲介業者については,他人の身体に害を及ぼす危険のある行為をした以上処罰するとしてよいように思います。

2 国外での契約,出産依頼について

国外で代理出産を依頼した人をどうするか。

この点については,日本国民が国外で行った場合についても処罰する規定を置けば足りることです。

国外で生まれたこどもについて代理出産かどうかどう見分けるのかという反論がありますが,代理出産を行ったことが判明した場合に処罰の対象としない理由にはなりません。

国外犯処罰の規定を置いた立法例としては,児童買春防止法がありますが,これだって,海外で児童買春を行ったかどうかは帰国時には分からないのが通常です。

それでも,どうせ海外で行われたものは分からないからといって,児童買春を規制しないということにはなりませんでした。 むしろ,日本人による海外での児童買春を規制する必要があるということで,国外犯を処罰することとしているのです。

代理出産規制についても,同様の理が当てはまるでしょう。

このように,代理出産については,保護法益についても,国外で行われた行為への対応の点についても,刑事罰を科すことに問題はないものです。

刑事罰を科すことには一般に謙抑的であるべきであるから刑事罰の賦課は慎重になすべき,という考え方もあるでしょう。しかし,代理出産契約の禁止を仲介業者や依頼者に対する関係で実効的なものとするためには,刑事罰(自由刑)を設けるしかないように思います。

激増の上に業務を狭められてはねえ2008年01月26日

毎日放送の「VOICE」で新人弁護士の経済的苦境ぶりが報道されたことが話題になっていますね。

弁護士登録とともに独立開業した旧60期の弁護士が取り上げられていましたが,他の弁護士からの仕事の紹介を受けているとはいえ,1年目から月25万円の売上げ(利益ではありません。)をあげているのには,健闘しているなと感じました。

また,上記記録では落ちていましたが,放送(Youtubeで見ました)では弁護団会議に参加しているところが移されており,余裕がない中で頑張っているものだと感心させられた点もありました。

ところで,売上げを上げるためには国選弁護を受任するという方法もありますが,国選弁護を受けるに当たっては今は日本司法支援センター(法テラス)と契約しなければならないのです。しかも,従来は法律扶助協会が行っていた刑事弁護扶助までも,今では日本司法支援センターとの契約が必要となっています。

したがって,法務省管轄下の日本司法支援センターとの契約を嫌うと,国選弁護業務を行うことができなくなってしまうのです。

つまり,法務省の管轄団体との関係を持つことを嫌う人にとっては,行える業務の範囲が狭まったということになります。

激増を容認し,日本司法支援センターに弁護士推薦権をみすみす引き渡した日弁連執行部の責任は重いと言わざるをえないでしょう。

本当に今後の弁護士の生活を憂うのであれば,激増容認を直ちに撤回し,日本司法支援センターから弁護人推薦権や法律扶助についての権限を取り戻すべきではないでしょうか。