臨床研究としての代理出産~例外として認めるのはまずいでしょう2008年01月30日

原則禁止はいいのですがね・・・。

代理出産、原則禁止に 学術会議検討委が大筋合意共同通信

不妊の夫婦が妻以外の女性に子どもを出産してもらう代理出産の是非を検討していた日本学術会議「生殖補助医療の在り方検討委員会」(委員長・鴨下重彦東京大名誉教授)は30日の会合で、代理出産を法律で原則禁止し、営利目的での実施は依頼者を含めて処罰すべきだとする報告書案の内容に大筋で合意した。

一方で、代理出産の是非を判断する科学的データは不十分だとして、国の厳重な監視の下で試行的に実施する臨床研究の道も「考慮されてよい」と道を残した。

3月までに最終報告書を発表し、政府と与野党は法整備を求められることになるが、国会議員の間でも賛否をめぐり意見が分かれており、曲折が予想される。

報告書案は、代理出産によって代理母となる女性が被る身体的・精神的負担や、生まれてくる子どもの心に与える影響などの問題点を重視。法律によって禁止すべきだと結論づけた。

営利目的の場合のみ処罰するとありますが,親族間での代理出産契約などは強制や誘導のおそれが大きいのですから,非営利であっても処罰の対象とすべきではないでしょうか。もっとも,親族間の場合,依頼者自身も,家制度の圧力などでやむを得ず依頼者とならされたという面もあるかも知れず,被害者としての側面もあることが考慮されたのかもしれません。

それはさておき,今回の報告書案で納得いなかいのは,臨床研究の道も考慮されてよいとされていることです。

臨床研究ということは,代理出産者となる人が出ることを認めるということです。「国の厳重な監視下で」,つまり,管理売春ならぬ管理代理出産が行われることになるのですが,

代理出産によって代理母となる女性が被る身体的・精神的負担

について,臨床研究目的ということであれ,女性に負わせることを国が容認してよいのでしょうか。

この臨床研究において代理懐胎する女性に中絶の自由は認められるのでしょうか。また,代理懐胎者が子どもを渡したくないといったとき,その主張は認められるのでしょうか。それでは実験の目的が達せられないからといって,代理懐胎者の主張は退けられるか,「説得」という名の強制が行われるおそれが大きいのではないでしょうか。

日本では,臨床研究の被験者となる人を保護するための法制度が極めて不備な状態にあります。有識者からは被験者保護法制定の提案もなされていますが,未だ実現するに至っていません。

代理出産自体,代理懐胎者となる女性に大きな負担を与えるものであるのに,このように被験者の保護に欠けている状態で,代理出産の臨床研究を認めることは,被験者=代理懐胎者となる女性にとって極めて重大な身体・精神上の危険を及ぼすものです。到底認められるべきものではありません。

代理出産は研究目的のものも含め全面的に禁止すべきです。

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