修習生の就職先決定状況20092009年07月05日

6月18,19日に開かれた日弁連理事会での話を又聞きしたところによると,日弁連の調査では現行(旧)62期で弁護士志望者中45名(26.3%)が未定,新62期で同428名(36.7%)が未定だということのようです。 調査時点がいつなのか,また,未定者人数については回答者中の人数なのか,回答者中の人数から修習生全体の中の人数を推計した値なのかは不明ですが,少なくはない人数であることは確かです。

仮に上記未定者数が回答者数の内数であるとして,未定者の割合から弁護士志望の回答者の人数を算出すると

現行(旧)62期 45÷0.263=171

新62期 428÷0.367=1166

の合計1337名となり,昨年の同時期に行われたアンケートの回答者(1041名)よりも多い人数が回答しています。修習生が就職状況悪化について訴えざるをえないほどの状況の悪化がうかがわれるのではないでしょうか。

また,仮に裁判官,検察官志望者が各100名ずついると計算すると,新司法修習生だけで(修習生総数は合格者数をそのまま持ってきています。),

(2065-100×2)×0.367=684.455→684人

裁判官,検察官志望者が各150名ずつだとすると

(2065-150×2)×0.367=647.755→647人

の修習生が就職先未定ということになります。

現行(旧)62期に相当する旧司法試験合格者の数は248名,新62期に相当する新司法試験合格者の数(PDF)は2065人ですから,今年二回試験を合格すれば法曹になることのできる人の数は(再受験者を除きます。)

2065+248=2313人

となります。この数は,現行(旧)61期及び新61期(PDF)に相当する司法試験合格者の合計人数

1851+549=2400人

を下回ります。それにもかかわらず就職先未定者が500名(昨年同時期の推計値)から約200名も増えている(647+45=692)ということは,弁護士としての就職先が既に飽和しており,これ以上の増員はもちろんのこと,合格者数の現状維持策も破綻を来していることを示しているのではないでしょうか。

参考:弁護士の「就職難」の状況は?(昨年の同時期の調査についての記事です。)

追記

吉峯康晴弁護士のブログに上記理事会の詳細な報告がupされていますね。それにしても,宮崎会長,就職難に関する

法曹人口の増え方によって就職が厳しくなっている,民間や公共団体への採用は増えていない,今後2000名以上の増員になっていったらどうするのか,

との質問に対して

オンザジョブトレーニング OJTを重視し,就職拡大に全力を挙げて努力をする,公共団体や民間への就職も推進する

って,合格者数のさらなる見直しは行う意向はないんですかね。OJTをまず最初に持ってきていることから,弁護士激増の問題点は「質」にあるという立場に立ち続ける気なのでしょうか?新自由主義の弊害が広く語られるようになった今,競争の激化による弁護士業界全体への弊害をもっと直截に打ち出すべきように思うのですが。

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