大学生の就職難も弁護士の就職難も放置してよい問題ではない2009年11月25日

白浜弁護士のブログによれば,日弁連現執行部を支持する弁護士として,「今の大学生も就職が困難となっている時代に、弁護士だけが就職が困難になっているからなんとかしろと言うことはできないという考えを持って」いる弁護士がいるということであった。

この考え方,他に困っている人がいる,困っているのはおまえだけじゃない,だから我慢しろ,というように聞こえる。

更に言えば,大学生の就職難も,弁護士の就職難も,所与のこととしてあきらめて受け入れろと言っているようにも。

でも,他人が困っていることも,自分(の同業者)が困ることも,放置してよい問題ではないのではないか。

大学生の就職難は景気対策の無策に,弁護士の就職難は弁護士激増政策に,それぞれ由来するものだが,いずれも政策により引き起こされた人為的なものだ。

そうであるなら,景気対策をきちんとやることと,弁護士激増政策の方向転換をそれぞれ求めることで対処するのが筋ではないか。

なお,就職難って簡単に言うけど,渦中にいる人にとっては相当な負担がかかるものだ。

私自身いわゆる2000年問題(修習が2年の期と1年半の期が同じ2000年に修習を終了する)の年に修習を終了したが,1年の間に当時としては大人数の1500名以上の修習生が修習終了を迎えるということで,修習生の多くは就職先探しに前期修習初めから躍起になっていた。

それでも今の修習生の就職状況を思えば楽に就職できたものだと思うが,就職先が決まるまでは内心本当に焦ったものだった。

そんな精神的負担,弁護士業務をやっていく上での緊迫感に比べれば,などと言うのかもしれないが,ある程度職業人としての経験を積んだ状況でのストレスと,新世界へ足を踏み出せるのかどうかというストレスはその質が違うものだと思う。

こんなストレスを味わう人はいない方がいい。弁護士激増が就職難の原因であることは明らか(少なくとも激増前は,就職難がこれだけ騒がれたことはほとんどなかった。)なのだから,弁護士激増政策は直ちに見直し,撤回されるべきだ。

コメント

_ とあるLS生 ― 2009年12月24日 02時53分31秒

若者が社会への一歩を踏み出せないという問題は重大ですね。
大学生、新人弁護士の就職難は確かに問題ですが、それより更に深刻なのが、合格できなかった法科大学院生だと思います。大学生よりも年齢を重ね(30歳近く)、しかも新卒ではなく既卒無職。更に無資格。
自己責任ではありますが、法科大学院というものが毎年数千人規模でにこのような無資格修了生を排出している点に問題が全くないとはいえないように思います。法科大学院関係者はこれをどう受け止めているのでしょうか。いわゆる下位LSや未修コースでは、専門職学位過程ではなく、高学歴フリーター養成過程となっているなんて揶揄されかねません。

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