二回試験不合格率減少と日弁連会長選挙2009年12月16日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091215/trl0912152217020-n1.htm

昨日司法研修所の二回試験の結果が発表されたようですね。

上記産経記事によれば,不合格者は75名,受験者全体に占める割合は3.6%とのことです。

一昨年から2年連続して不合格率が落ちているので,増員維持派は活気づくかも知れませんが,本当に弁護士激増を(ペースダウンするとしても)このまま進めていいんでしょうかね?昨年同時期の記事でも述べましたが,弁護士激増の問題点は「質」うんぬんではなく競争激化による無理な事件化のおそれにあると思うので,二回試験不合格者が増えなくても(いや,そのことにより法曹になる人が増える分だけ)問題が生じてくるおそれは高まるのではないでしょうか。激増は直ちに見直すべきように思います。

また,法科大学院関係者の中には,教育の成果が現れたと主張する人も出てくるかもしれませんが,そうだからといって,司法試験受験資格を法科大学院修了者に限るべきとする根拠にはならないと思います。特に従前から主張しているように,法科大学院が文部科学省の(間接的とはいえ)統制下にあるということを考えれば,その統制から自由に法曹をめざす途は広く開かれているべきでしょう。

ところで,来年の2月に日弁連の会長選挙が行われる予定となっています。今のところ立候補をめざしていると思われる人は私の知っている範囲で3人いるのですが,そのうちの1人の支持母体と思われる団体の政策の中に,弁護士増員の見直しの根拠として「質」の問題が挙げられています。

法曹(というか,司法試験合格者)の質は二回試験の合否結果で図れるという考え方と,二回試験の合格水準が従前から不変であるということを前提とした場合,今回の不合格率の低下は,司法試験合格者の増加によっても司法試験合格者の質は変わらないという考え方の根拠に使われそうです。

まさか今回の不合格率減少が上記候補を追い落とすための政策的なものということはないでしょうが,今回の結果は,少なくとも「質」の問題を前面に出して増員見直しをとなえた候補は対応に頭を悩ますことになるでしょう。

コメント

_ 白浜 ― 2009年12月25日 13時04分51秒

新62期の就職状況は、現行62期と比べるとかなり改善されたようです。数字としては、132人もの人たちの就職先が不明となっていますので、比率の改善がみられたにとどまりますが、このことが、弁護士人口急増を維持したい人たちにどう受け取られるのか、心配です。数字などは、私のブログをみていただければと思います。

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