総量規制で経済収縮?2010年05月17日

改正貸金業法、専業主婦は借り入れ困難 「無収入」理由

多重債務を防ぐ改正貸金業法の施行で、6月以降、無収入の専業主婦(夫)は、消費者金融からの借り入れや、クレジットカードのキャッシング利用が難しくなりそうだ。無収入でも配偶者の同意書などを提出すれば借りられるが、業界大手は事務処理の費用がかかることなどを理由に専業主婦には貸さない方針のためだ。業界では、400万人以上が新規借り入れが出来なくなるなどの影響を受けると見ている。

これによって経済が収縮するといった見方(ボ2ネタ)も出ていますが,どうなんでしょうかね。

貸金業法が改正され金利の上限が利息制限法同様年15~20%となったわけですが,これでも現在の経済成長率を考えると遙かに高いもので,所得の上昇がなかなか見込めない昨今では,それだけの率の利息を払っていくのも困難でしょう。無理に利息の支払を継続し,不足分を補おうと借り増しすれば更なる利息の負担を招き,生活費の支出も圧迫されます。そのような生活を続けるよりは,いったん自己破産・免責により債務を帳消しにしてもらった方が消費の増大・維持につながるのではないでしょうか。

そもそも収入を上回る支出という事態が起こらずに済む生活をするような消費者教育が第一のような気もしますし,不慮の事態でそのような状況に陥った人の救済のための小口融資って,市民(国民)の生活保障ということですから,本来は公の仕事であり(現に小口融資を行っている地方自治体も存在します。),貸金業者の経営に配慮した法制度を維持することで達成しようとするようなものではない気がします。

○○を使っていない,という表示2010年05月17日

消費者が知りたいと思ったことでもその希望が誤った認識に基づくものである場合には表示してはだめということでしょうか。

口蹄疫に関する不適切な表示について(PDF)

4月20日以降、宮崎県の農場で飼養されている牛・豚などの、口蹄疫の患畜及び疑似患畜が確認されている件について、当庁では、消費者に根拠の無い不安を与えることがないよう、別添のとおり、食品関連事業者に対し、適切な表示を行っていただくよう要請する文書を作成し、HPに掲載いたしました。

別添文書の内容は以下のとおりです。

食品関連事業者の皆様へ

○4月20日以降、宮崎県の農場で飼養されている牛・豚などについて、口蹄疫の患畜及び疑似患畜が確認されていますが、感染が疑われるとの報告があった時点で家畜の移動が自粛されており、口蹄疫にかかった家畜の肉や牛乳が市場に出回ることはありません。

○口蹄疫は、偶蹄類の家畜(牛、豚など)や野生動物(シカなど)が感染する病気であり、人が感染することはなく、牛肉や豚肉を食べたり牛乳を飲んだりしても人体に悪影響はありません。

○安全上の問題はありませんので、飲食店・小売店において「宮崎県産の牛肉は使用していません」との表示を行うなど、消費者に根拠の無い不安を与えることがないよう、適切な配慮をお願いします。

○事業者の皆様におかれては、口蹄疫に関する正しい知識に基づき、適切な表示を行っていただくようお願いします。

平成22年5月17日

消費者庁

「宮崎県産の牛肉は使用していません」というのは,いわばネガティブな原産地表示といえるもので,実際に宮崎県産牛肉が使用されていなければ,本来は不当表示とはいいにくいものです。「適切な配慮」を求めるにとどめているのもそのような事情からでしょう。

ところで,このような表示が消費者に与えるおそれのある「根拠の無い不安」というのは,特定の産地で作られた牛肉が身体に害を及ぼすかもしれないというものです。しかしそのような不安は,小売店や飲食店がそのような表示をすることで生じるものなのでしょうか。むしろ,口蹄疫の発生状況についての政府・マスコミの報道により「不安」は生じるものでは?そして消費者としては,口蹄疫についてよく分からないうちは,その産地のものは避けておこうとするのはまっとうな行動であり,そのような行動の一助となるべく特定地域産のものではないことを示すのは,それ自体おかしなものとはいえないでしょう。

消費者庁も事業者への要望の一方,消費者団体等に対して,口蹄疫に関する情報について(PDF)という文書を発し,冷静な対応を呼びかけています。

ところで,このような消費者庁の一連の文書発付を見た限りでは,その目的は,危ないかもしれないなものを回避しようとする消費者の利益よりも,事業者(宮崎県の畜産業者等)が風評被害に遭わないようにすることを図ることにその主眼があるように見えます。

つまり,消費者保護というよりはむしろ,宮崎県産牛肉の関連業者がg競争上不当に不利にならないようにという点に主眼があるもので,景品表示法が独占禁止法の特別法であることから見ればそのようなねらいはわかる(公正な競争を確保するということになるから)のですが,消費者保護という観点からはどうなのかなあという疑問もまた残るところです。