法科大学院と司法試験~もう切断しかない2011年06月11日

(人権擁護・二弁の会ニュースに掲載された文章です。)

 新司法試験の受験資格を得るために修了が必要とされる法科大学院。その入学者数は2006年度の5784人をピークに減り続け,2011年度には過去最低の3620人まで落ち込んだ。適性試験の志願者も,重複して受験可能な2回の合計で延べ約1万3000人と,2004年の延べ5万9000人に比べると,4分の1にも満たない。またこの数は,2010年度旧司法試験の出願者数1万6088人をも大きく下回っている。法科大学院を経て法曹になる途が魅力ないものであることはもはや明らかだ。

 しかも法科大学院は,多様な人材の法曹界への受入れをうたって未修者中心の教育をする建前のはずなのに,今年度の入学者中過半の53%が既修者コース。試験の合格率が既修者と未修者で大きく開いていることから,各校が定員減の指導に従うに当たり未修者コース中心に減らした結果だ。二弁が提携している大宮法科大学院も,未修者コースのみで開校したが,やはり合格率低迷から,既修者コースを設置するに至っている。「理念」を理由に提携したのだから,それをないがしろにした法科大学院と提携,協力する意味はどこにあるのか。

 激増のもと,弁護士の経済的状況も楽ではない現在でも,なお司法試験予備試験に約9000人もの出願者が集まることから分かるように,余計な費用と時間の支出を強制されなければ法曹になりたいという人は多く存在する。法曹志望者を法科大学院という時間的・金銭的縛りから解くこと,司法試験受験資格を法科大学院から切り離すことが急務ではないだろうか。