出た1等6億円が2口=ビッグで国内くじ史上最高額,って煽っていいのか? ― 2007年06月25日
最高金額が高いことはよいことなんでしょうか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070624-00000091-jij-spo
日本スポーツ振興センターは24日、第286回スポーツ振興くじ(サッカーくじ、愛称toto)のBIG(ビッグ)で、国内くじ史上最高額となる1等当せん金6億円が2口生まれたと発表した。過去最高は同じビッグで昨年11月に出た5億8415万6640円。当せんくじの発売場所は26日以降に発表する予定という。
販売金額のうち当選金に充てられる割合が50%を割る,つまり寺銭5割以上というものについて,高額な当選金の可能性があると言って購買をあおるのはいかがなものかという気がします。
こちらにも書きましたが,こういった籤やゲームについての規制に関しては,期待値がどのくらいかを買い手に周知させるようにすることが必要でしょう。
追記
ヤメ蚊さんの記事を見ると,totoについては払戻金以外の使途についても明確にさせることが必要かもしれませんね・・。
公取委、資格学校3校に警告・合格者数「水増し」表示で ― 2006年10月13日
資格ばやりの昨今,優良誤認表示とされる基準も厳しくなってますね。
公取委、資格学校3校に警告・合格者数「水増し」表示で(NIKKEI NET)
大手資格試験予備校が公認会計士などの試験対策講座のパンフレットの合格実績に短期間の講座を数回受けただけの人も含めて表示していたのは景品表示法違反(優良誤認)の恐れがあるとして、公正取引委員会は12日、TAC(東京)、大原学園(同)、早稲田セミナー(同)の3校に警告した。
公取委によると、TACは2005年12月―今年6月に配布した公認会計士試験講座のパンフレットに、05年度試験の会員合格者数を「1079名 合格者に占める割合82.4%」と表示。この中には短期間の講座を数回受けただけの人や数年前の受講者も含まれていた。税理士試験講座のパンフレットでも同様の記載をしていた。
大原学園は税理士試験講座の、早稲田セミナーは公務員試験講座の各パンフレットで同様の表示をしていた。公取委は、各校とも正規の受講の成果とは認められない人が合格者数に2割程度は含まれていたとみている。
各校はすでに指摘されたパンフレットの使用を中止しており、「警告を真摯(しんし)に受け止め、今後は適正な広告表示に努める」などとコメントしている。 (22:44)
昨年東京リーガルマインド(LEC)に対して下された排除命令(PDF)では,司法試験口述試験会場までの送迎バスを利用した者,論文試験回答等の資料の提供を受けた者,受験願書の提供を受けた者等についても
会員として司法試験受験講座をご利用
した者の人数に含められていたことが問題とされており,排除命令の対象となった行為が違法なことは明らかでした。
それに比べると今回警告を受けた行為は,短期間のものにすぎないとはいえ講座受講者を含めたというだけのものなので,違法なのかどうか微妙なところです(そうであるからこそ警告にとどめているともいえますが。)。
本件に関する公取の新聞発表文(PDF)を見てみると,各社の違反被疑行為の概要に(注)として,各社がパンフレットで,合格者数には模擬試験のみの受験者や書籍購入者,情報提供登録者を除く旨うたってあることがふれられています。このようにわざわざうたったことで,模試受験者と同列に扱われるべき短期講座受講生も合格者数には含まれないとの誤認を消費者に生じさせるおそれがあるということで,かなり踏み込んだ認定を公取はしたという感を受けます。
ただ,公取はLECに対する排除命令に併せて,資格試験等の受験指導を行う主要な事業者に対して以下のような要望を出しており,本件各社の行為はその要望にもろに反するものでした。
3 要望の概要
資格試験等受験のための講座の受講生募集を行う際の広告表示において,次のような例が多く認められ,このような表示は,一般消費者の認識に沿った適切なものとは認め難いため,資格試験等の受験指導を行う主要な事業者に対し,景品表示法違反行為の未然防止の観点から,表示基準を策定するなどの表示の適正化を図るよう要望した。
(1)自らの合格実績として表示している合格者数,合格者数の比率等について,短期講座の受講生,公開模擬試験のみの利用者等,主要な講座を受講していない者を含めている。
(2)合格者について,単に自らの会員や利用者である旨のみを示し,利用した講座等の範囲を示していない。
本件各社が上記の(注)で指摘されたような記載をしたことが,LECと同じようなことさえしなければ排除命令は受けない,公取の要望を無視してもかまわないという意識の現れと公取にとらえられ,公取の逆鱗に触れたということが今回の警告の背景にあるのかもしれません。
総額規制と射幸心 ― 2005年12月24日
以前とりあげたペプシのおまけの件ですが,懸賞による景品の提供とみなされて,景品の提供総額の規制に抵触するということで問題にされていました。
具体的には,懸賞の方法によって景品を提供する場合には,提供される景品の総額が,景品提供の対象となる取引期間内の売上高の2%以内でなければならないという規制に触れるとされたのです。
このように総額が規制されている理由について,提供される景品の総額が大きいと射幸心をあおるから,ということが言われます。宝くじや公営ギャンブルの当選金分配率が抑えられていること,ぱちんこにおける出玉率に上限が設けられていることについても,同様の理由が言われます。
でもこの理由,よく分かりません。 500円の物を買った人の中から100万円を1名様に,という場合と,1万円を200名様に,という場合,どちらが射幸心をあおるのでしょうか。提供される景品の総額が大きいのは後者(1万円を200名様に)ですが,上記のような広告を見た人が一発ねらってやるか!という気になるのは前者(100万円を1名様)であり,前者の方が射幸心をあおるように思えるのですが。
また,射幸心をあおらないようにするという趣旨を徹底するのならば,景品提供キャンペーンに当たっては,景品がもらえる確率を明示する措置を事業者に義務づけるべきでしょう。消費者が購入する商品が500円の時に上限ぎりぎりの1万円の景品を懸賞の方法で提供する場合,当たる確率は
500÷10000×0.02=0.001
つまり多くても1000人に1人しか当たらないのです。このことを隠して景品提供キャンペーンを行うのは,少数の景品をおとりに商品を買わせるもので,極めて欺まん的なように思います。当選確率が明示されない状態では,総額規制は,射幸心を抑えるよりも,このような欺まん的な取引を蔓延させる方向に働くのではないでしょうか。
日本では懸賞による景品の提供については金額に制限が付けられているにすぎませんが,欧米(独仏,米国州法)では,商品の購入を条件として懸賞により景品を提供する方法自体が禁止されているところが目立ちます。懸賞による景品の提供については,上記のように欺まん的な面があることを考えるならば,日本でも欧米同様に金額の多寡を問わず禁止するか,せめて当選確率を記載させることを考えるべきように思います。
弁護士広告と景品表示法 ― 2005年12月23日
弁護士業務も役務だから,抽せんで一定数の人に無料で提供します,といえば,景品類の提供になります。
したがって,上限は10万円,無料で提供できる人の割合は,50人に1人が限界のはずですが・・・。
http://www.news2u.net/NRR20059529.html
(奥村弁護士のページを通じて知りました。)
●「今年の内に借金整理キャンペーン」(実施期間:2005年12月25日~30日) 債務処理費用全額(自己破産の場合¥283,500円)を25人に1人(2=じ、5=こ/「じこ」破産)無料
無料となる対象者の発表は、債務処理相談時の顧客ナンバーを1月10日に、・・・発表します。(裁判所に支払う実費・予納金は本人負担)
不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件(平成10年12月25日公告,平成11年2月1日施行)
不当景品類及び不当表示防止法(以下「法」という。)第2条第1項に規定する景品類とは,顧客を誘引するための手段として,方法のいかんを問わず,事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して相手方に提供する物品金銭その他の経済上の利益であって,次に掲げるものをいう。ただし,正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益及び正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に附属すると認められる経済上の利益は,含まない。
一~二 略
三 きよう応(映画,演劇,スポーツ,旅行その他の催物等への招待又は優待を含む。)>
四 便益,労務その他の役務
景品類等の指定の告示の運用基準について(昭和五十二年四月一日事務局長通達第七号)
5 「物品、金銭その他の経済上の利益」について
(2) 商品又は役務を通常の価格よりも安く購入できる利益も、「経済上の利益」に含まれる。
6 「正常な商慣習に照らして値引と認められる経済上の利益」について
(4) 次のような場合は、「値引と認められる経済上の利益」に当たらない
ア 対価の減額又は割戻しであっても、懸賞による場合、減額し若しくは割り戻した金銭の使途を制限する場合(例 旅行費用に充当させる場合)又は同一の企画において景品類の提供とを併せて行う場合(例 取引の相手方に金銭又は招待旅行のいずれかを選択させる場合)
25日からの相談者を対象とする企画ということでもあり,また,相談にとどまる内は無料ということなので,直ちに撤回の告知をすれば,「実施すれば過大景品,実施しなければ不当表示(広告で表示した取引条件が実際よりも,景品の当たる確率の点で有利であると誤認させる。)」という景品表示法上のジレンマからは逃れられると思います。
成型肉ステーキ? ― 2005年11月16日
ステーキの表示に関して公正取引委員会から排除命令を受けたフォルクスってダイエーの関連会社でなかったっでしたっけ?
そうであれば,内臓肉と脂肪分を混ぜて作った成型肉をステーキって表示しちゃいけないことは周知徹底されていたはずでは?ダイエーの関連会社でなくなってしまったことで申し送り事項から落ちてしまったのでしょうか?
「成型肉」に関する表示の周知徹底について(要望)(昭和五十六年十月二十八日公取指第六三〇号)
公正取引委員会事務局取引部長から全国食肉公正取引連絡協議会,社団法人日本畜産副生物協会,日本ハム・ソーセージ工業協同組合,社団法人日本セルフサービス協会,日本チェーンストア協会及び日本百貨店協会宛
最近貴協会の会員・組合の組合員の中には,横隔膜,腹横筋等を貼り合わせた成型肉の原材料に「ハラミ」,「サガリ」等の表示をし,更に商品名に「アメリカンステーキ」「ファミリーステーキ」等と称して製造販売しているものが見受けられるが,これらの表示のみでは,その商品が精肉であるかのように,一般消費者に誤認されるおそれがある。
よって,これらの商品の表示の適正化を図るため,今後下記要領に基づく表示を傘下会員・組合員に周知方取りはからうとともに,会員・組合員を指導することを要望する。
記
1 成型肉には,その旨を明記すること。
2 使用部位名については次のとおりとする。
ア 横隔膜については「内臓肉」と表示する(内臓肉と表示した上で横隔膜,ハラミ等と並記することは差し支えない)。
イ 腹横筋については「バラ肉」と表示する。
3 使用食肉の種類名を表示する。
4 成型年月日(事前包装ものは包装年月日をいう。)を表示する。
5 輸入肉である場合はその旨表示する。
懸賞品は景品ではないのか? ― 2005年11月06日
少し前の記事ですが,なんか誤解を生みかねない内容ですね。
ペプシおまけのガンダムは「懸賞品」…公取委が注意(読売新聞。現在はリンク切れ。Googleのキャッシュはこちら)
清涼飲料水「ペプシツイスト」などのおまけをめぐり、同飲料水を製造・販売しているサントリー(大阪市)が公正取引委員会から、景品表示法違反の疑いがあると注意を受けていたことが、25日わかった。
(中略)
サントリーは2003年9月から、32種類の「ガンダム」の模型のうちいずれか1種類を袋入りのおまけにして、「ペプシツイスト」ボトル缶などの販売を始めた。おまけは全商品についていれば、通常は「景品」とされるが、ペプシの場合、いくら商品を買っても全種類を集め切れるかどうかは運に左右されるため、公取委は「懸賞品」と認定。懸賞品の価格は商品価格の2%以下でなければならないが、今回はこの制限を超えていたという。
上記の記事だと,「景品」か,「懸賞品」かは,二者択一的なもののように読めます。
しかし,本件の「懸賞品」は,法律上は,懸賞の方法により提供される「景品」(法律上は「景品類」といいます。)のことであって,懸賞品だからといって景品に当たらなくなるものではありません。公正取引委員会の出した注意や要請の内容が具体的にどのようなものか分かりませんが,「懸賞品」というのは法律上の用語ではないですし,公取が「『懸賞品』と認定」するという言い回しをすることはないと思います。
もっとも,他社も以下のように「懸賞品」という言い方をしており,正確さよりもわかりやすさをねらったのかもしれませんが・・。
- 公取委がサントリーに注意-ペプシのおまけは懸賞品(SANSPO.COM)
仮に「懸賞品」ではない「景品」だとしても,商品の価格の10パーセント(商品の値段が1000円未満のときは100円)以下の価値のものしか出せないという規制があります。この点毎日新聞の記事はきちんと指摘していますが,それではペプシにつけられていた「おまけ」は100円以下の価値しかないものなのでしょうか。サンスポの記事につけられている写真を見る限りでは微妙です。レアものがあり,
全種類そろった模型は、ネットオークションで10万円前後で売買されているという。(前出の読売記事)
ということからすると,100円を超えていると判断される可能性も否定できないでしょう。
こう考えてみると,「懸賞品」でない「景品」,つまり懸賞の方法によらないで提供される景品類だとしても,法律に違反するおそれはぬぐいきれません。
本件のような場合の「おまけ」が適法だというためには,「おまけ」がペプシツイスト本体と一体となって一つの商品を構成している,とか,キャラクター模型はペプシツイストの付属品である,といったように,「おまけ」は景品類に当たらないという構成をとる必要があります。
新聞業界は景品類を顧客に提供することが長らく禁じられてきた業界ですが,そうだからと言って,いや,そうだからこそ,景品の規制について知らないというのでは済まされないと思います。
ところで,今回の注意は,懸賞の方法によって提供する景品類の「総額」の規制に反するとして行われています。この総額規制については別稿であらためて考えてみることとします。
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