大阪地検検事、庁舎内で自殺図る 包丁で腹などに刺し傷 ― 2006年12月12日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200612110037.html
読売新聞の記事によると,司法修習を担当していた検事のようですね。
私も大阪で検察修習を受けたこともあり,驚きました。
大阪は大規模庁ということで,多くの修習生を受け入れています。私の時(53期。修習生総数は約800人)は96人を3班に分けて,1班32人を1つの大部屋で見ていました。修習担当検事は2~3名でした。翌年(54期。修習生総数は約1000人)は128(132?)人を4班に分けて見るようになったと聞いています。その後司法試験合格者数も修習生総数も増えましたから,大阪での修習生数も激増したことでしょう。
今年12月からは,新司法試験合格者の司法修習が始まるとともに,旧試験合格者(60期,約1500人)の実務修習も併せて行われることから,これまでと比べ極めて大人数の修習生を一度に見ることになります。しかも,新試験合格者については2か月でひととおりの修習を終わらせるよう,新たにプログラムを組み直さなければなりません。受け入れ態勢に無理はなかったのでしょうか?必要な人員配置は行われたのでしょうか。落合弁護士はメンタルヘルスの見直しを提唱されていますが,業務態勢をきちんと構築することがその前に求められるように思います。
法科大学院の設置に伴い,多くの大学院に検察から講師が派遣されていますが,司法試験に受かるかどうかわからない学生への教授に追われ,法曹になる可能性が格段に高い修習生の指導態勢作りまで人が回らなかったというのであれば,それは本末転倒ではないでしょうか。
ウィニー開発者に罰金刑の判決 ― 2006年12月13日
ウィニー開発者に罰金150万円の有罪判決 京都地裁(asahi.com)
判決はまず、ウィニーの性格について「さまざまな分野に応用可能で有意義なものであり、技術自体は価値中立的なもの」としたうえで、技術の外部への提供行為が違法になるかどうかについては「その技術の社会に置ける現実の利用状況やそれに対する認識、提供する際の主観的態様による」とする一般的な判断を示した。
そのうえで、金子被告が捜査段階の供述やホームページに掲載した内容などをもとに、ウィニーが一般の人に広がることを重視し、ファイル共有ソフトがインターネット上で著作権を侵害する態様で広く利用されている現状を認識しながら認容していた▽金子被告が著作権侵害がネット上に蔓延(まんえん)すること自体を積極的に企図したとまでは認められない――と認定した。
さらに、やり取りされているファイルのかなりの部分が著作権の対象となるものだったことを認識しながら、ホームページ上でウィニーを公開し、不特定多数の利用者が入手できるようにした、と指摘。これにより実行犯による著作権侵害行為が行われたとして、金子被告の行為は幇助犯を構成すると結論づけた
「価値中立的」な「技術自体」が主観的態様によっては「違法」になりうるというのは,主観的違法論と言われて近年の刑法学では批判されてきた論理のように思いますが,どうなんでしょう?もっとも,判決全体の論理は判決文を見てみないと分かりませんが・・・。
正犯とされる業者の個別具体的な犯罪行為を認識していなくても幇助犯になるというのもむちゃくちゃなような気がします。
技術開発に対する影響は無視できないですし,より一般的に処罰対象行為の拡大の可否という観点からも注視されるべき判決のように思います。
処罰範囲の拡大と自由(管理人が以前書いたものです。)
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