「参加」というワナ2011年12月19日

来年2月に行われる日弁連会長選挙ですが,4氏が立候補を予定しているようですね。立候補予定者(敬称略)と選出母体は次のとおりです。

森川文人(43期,第二東京) 憲法と人権の日弁連をめざす会(めざす会)

尾崎純理(25期,第二東京) 新しい日本と司法を興す~2012弁護士の会(興す会)

山岸憲司(25期,東京) 弁護士未来セッション(セッション)

宇都宮健児(22期,東京) 第2期・市民のための司法と日弁連をつくる会(つくる会)

弁護士激増,新法曹養成制度(法科大学院),裁判員制度導入を謳った「司法改革」については,めざす会は反対ですが,他の3団体は是とする立場です。この点「興す会」「セッション」の立場は明確ですが,「つくる会」も「第2次司法改革」などと述べ,「司法改革」を否定していない点には留意が必要でしょう。

ところで,毎日新聞の記事によれば,日弁連の法曹人口政策会議は,「合格者をまず1500人程度にまで減員し、さらなる減員は法曹養成制度の成熟度などを検証しつつ対処すべきだ」という内容の提言案をまとめたとのことです。この点については,政策会議の中では1000人にすべきという意見も多くあったようですが,1000人という数値の主文中への明示は見送られたとのことです。

しかし,今年の,修習生の弁護士一斉登録の段階で,約400人の未登録者が出てくるという就職難の状況を踏まえると,現状の2000人はもちろん,1500人でも多すぎると言わざるをません。合格者数1000人でも今後弁護士数は増加していくのであり,昨今の経済不況が改善する見込みの薄いことを考え合わせると,いったん合格者輩出停止措置でもとったほうがいいのではないかというくらいの状況です。

そうした中で「まず1500人」というのは,何をのんきなことを,と言われても仕方がないものと言わざるを得ないでしょう。

ところで,この会議は,宇都宮日弁連会長が議長となっています。そうだとすると,このような提言案について批判する以上は,当該政策会議の執行部を批判することは避けられないのではないでしょうか。

この点に関しては,宇都宮会長体制になってから,人口問題政策会議が開かれ,従前「司法改革」に批判的だった人たちが委員として発言できるようになったことを評価する向きもあるようです。

確かに,委員として発言権を持つようになったことは,従前とは変わった点ではあります。

でも,その結果としての提言案がどのようなものであるかを考えた場合に,そのとりまとめに責任を負うべき議長を批判しないことは,無理があると言わざるを得ないのではないでしょうか。

私は昔,国の審議会の庶務をやっていたことがありますが,委員の選任は部署内でよく検討しましたし,サブ(Substance=内容)担当の人がペーパー作成や根回しに使う労力はすごいものがありました。こうした状況をわきまえずに,権力側の作った機構に,自分らの意見を反映できると乗り込み,いったん乗り込んだ以上はつきあわざるをえないと,ずるずると取り込まれていった(むしろ嬉々として協力していたという話もありますが・・)のが,司法制度改革審議会への日弁連の加担だったのではないでしょうか。今回の日弁連人口問題政策会議の提言案を批判しつつ,宇都宮会長は評価するということについては,失礼ながら,司法制度改革審議会に対する日弁連の対応に似たものを感じてしまいます。

裁判員制度についても言えることですが,「参加できる」ということは,それだけで何か自分が何か特権を得たかのような感覚を参加者にもたらします。しかし人を選んで参加してもらうということは,参加者を選ぶ側,参加制度を作る側にも何らかの狙いがあるはずで,参加する側と参加してもらう側との緊張関係を忘れて「参加」することに浮かれていると,とんでもない誤りをしてしまうのではないでしょうか。

弁護士はとかく自信をもっている人種だけに,尚更注意が必要なように思います。

弁護士,弁護士会,弁護士会費2011年12月20日

司法試験合格者数の激増等による就職難,弁護士収入の減少により,弁護士会費が高すぎるということを問題視する声が目立つようになりました。

私の属する弁護士会は,全国の中でも会費はかなり安い方ですが,それでも日弁連会費を併せて月額約4万円が取られています。

正直言って多いとはいい難い収入の中からこの会費を納めるのは結構きついものがあります。司法試験合格者数を仮に毎年1000名としても今後の弁護士数が増えていく一方,弁護士の平均収入は下降が予想されるという状況の中,今の弁護士会費を維持する必要が本当にあるのか?というのは問われていいように思います。

ただ,更に進んで,委員会活動など弁護士会の各種人権活動を抑制すべきか?と言われたら,個人的には否です。弁護士会でなければできない活動などあると思うので。

また,強制加入を止めて任意加入にすることについても,やはり否ですね。役所の監督下に置かれるなんてまっぴらです。

(もっとも,「司法改革」を推進してきた日弁連を見ていると,個々の弁護士が鵜飼いの鵜,日弁連が鵜匠,裁判所・政財界が料理をいただくお客さんという感じで,日弁連執行部は自分たちのエエカッコシイのために弁護士の公益活動義務化や激増といった負担を課して,権力者とつるんでいる存在にしかみえないんですけどね。それでも役所の監視下に置かれるのよりは数段よいと思います。)。

こうした問題が顕在化してきたのは,弁護士が弁護士人口激増により経済的余裕をなくしてきたことにあるんですよね。みんな会費が払える弁護士業界を,すぐには無理でもどう復権させるか(その場合の会費は今と同じとはいかないでしょうが),それが今度の日弁連会長選挙で問われるべき問題のように思います。