新司法試験合格者数~「ペースダウン」したと誇れるのか? ― 2008年09月11日
政治的なにおいのする数字ですね。
新司法試験:合格率33%に低下…合格者ゼロも3校に(毎日.jp)
法務省の司法試験委員会は11日、法科大学院の修了者を対象とした3回目の新司法試験の合格者を発表した。合格者数は2065人(男性1501人、女性564人)。合格率は33.0%で初めて3割台に落ち込んだ。委員会が今年の目安とした2100~2500人を下回り、合格者ゼロも3校に上った。また、新司法試験の受験資格は「法科大学院修了から5年で3回」と制限されており、172人が初めて受験資格を失った。
何か,昨年並みとか,昨年より減らすといったことはできないけれども,日弁連の顔を立てて従前の予定の枠よりはちょっと減らすか,といった政治的配慮でも働いたかのような数のように思います。
日弁連執行部は,従前から目安とされていた人数の下限を下回ったから「ペースダウン」を提言したのが効を奏したと言うのでしょうね・・・。でも,合格者の数自体は昨年より200人余り増えていますし,予定された人数の下限より約30~40人減というのを毎年加重していったとしても,2010年の合格者数は2880~2920人ということになり,やはり激増なのではないかと言わざるを得ません。
今回の合格者数については,予定数の下限より35名の減少が意味のあるペースダウンと言えるか,このようなペースダウンにとどまらず合格者数の削減まで踏み込むべきではなかったかという疑問はあります。これが,仮にペースダウンとして評価できるとしても,日弁連としては,会長の任期中に本格的提言について検討するなどといった悠長なことではなく,ペースダウンにとどまらない,合格者数の削減といった方向に舵を向けるべきような行動に移るべきように思います。
コメント
_ 合格者 ― 2008年09月14日 09時31分20秒
_ h ― 2008年09月14日 17時02分19秒
もしかして,ここの管理人さんが新司法試験の合格者だと思われている?「新司法試験の合格者が~見苦しいと感じました」のくだりを読む限り,これは管理人さんに向けられたものと見えるのですが。
ただ,お気持ちはよくわかります。私はもう少し古い世代の人間ですが,試験をいじり回す報道(なぜか,本試験の直前とかに出てきていたんですよね)に触れるたびに,苦しい思いをしてきましたから。今はいじり回すどころの騒ぎじゃないですし。
「受かっても職がないよ」とか「ちゃんと育ててあげられないよ」という「ひとつの親心」なのかも知れませんが,受験をしている人間にそれを理解しろというのは酷でしょう。
質云々のレッテルにしても,「それほど,あなたたちは秀逸ですか?」と言いたくなりますし。
_ ノムラ ― 2008年09月14日 21時43分33秒
いやあ,弁護士としての経験があまり無いように見えてしまいましたか。文章力を鍛えなければなりませんね(汗)
御意見に対する回答にはなってはいませんが,貴コメントを前振りに新たな記事を立ち上げました。
>hさん
弁護士激増については,日弁連執行部が挙げるような質の低下よりも競争激化による種々の弊害(経済的困窮による事件漁り,カネにならない事件を避けるようになる等)が既存の弁護士の業務に現れてくることの方が大きいと思っています。弁護士業界外部に対する説得力は「質」の問題より低いようなのが困ったところですが。
_ (未記入) ― 2012年09月16日 00時06分28秒
まあ、しいて言えば金を弁護士にむしり取られて丸裸同然になっても闇金などから逃げられるならまだまし、ってことでいいんじゃないでしょうか。さすがに弁護士の先生方が命まではとらないでしょうから。
望ましいか社会かと言われればNOですが。
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_ ろーやーずくらぶ - 2008年09月14日 19時04分35秒
法務省が目安としていた2100人を下回る2065名の合格で合格率は約33%。旧試験の合格者と合わせると前年度の合格者数を超えるのは確実ですので、数値目標にはとらわれていませんが、前年度を上回るという...
管理人様は合格者削減論者だと推察いたしますが、自分自身が合格者増加の恩恵にあずかりながら、合格したあとになって削減すべきとの論調を展開されるのはいかがなものかと・・・
合格者を増やすべきか減らすべきかについては、もちろん賛否のあるところであり、いずれの見解を採ろうとも個人の自由です。
しかし、これを見た受験生はどのような気持ちになるでしょうか?
数年前まで受験生であった者として、彼らの気持ちは察するに余りあります。
私も、個人的な見解はありますが、受験勉強を続ける友人や後輩もいる中、とても「削減すべきだ」などとは公には言えません。
削減すべきだということは、新人が黙っていても先輩方が主張してくれていることです。
新司法試験の合格者が、合格後に削減を叫ぶのはあまりにも節操がなく、見苦しいと感じましたので、少し感想を述べさせていただきました。
ふと思ったことを書き殴っただけですので、ご気分を害されましたらご自由に削除してください。