どうなる,ロースクール集会2 ― 2010年10月13日
今,日弁連執行部は挙げて給費制維持にまっしぐら,という感のある昨今。給費制維持が貸与制に比べて好ましいことは(というか,貸与制がとんでもないものであることは)賛成であるが,問題の根底はそこじゃないよね?ということを敢えて問うてみることになりました。チラシが送られる範囲は諸事情により東京三会に限られているようですが,参加していただけるのであればそれ以外の方も歓迎のようです。
学習会~どうなる? ロースクール その2
10月13日(水) 18:00~20:00
会場:弁護士会館(東京)10階1006号AB室
テーマ
1 ロースクール生、修習生、若手弁護士の窮状
2 ロースクール制度の学費その他問題点
3 「給費制維持」運動は何をもたらすか
今年から導入が予定されている司法修習貸与制。最高裁から公表された概要では,保証人2名が用意できない場合にはオリエントコーポレーションの機関保証を得なければならないという凄まじい制度であることが明らかになっています。
では,このような貸与制を阻止すればそれでよいのか?日弁連の調査によれば,現状でも司法修習生の半数に「借金」があり,その具体的額は最高で合計1200万円,平均で318万円に上るとのこと。貸与される給与額(一般の場合月23万円)の合計よりも多い負債を既に抱えています。
しかも上記新司法試験合格者の陰には,そもそもロースクールに通うことができず、司法試験受験機会を奪われた多くの人が存在し,それは,予定合格者100名にも満たない旧司法試験の受験者数がなお1万人を超えていることにも現れています。
ロースクールについては合格率が当初喧伝されていたのと異なる,学費負担が高すぎると怨嗟の声が渦巻いていますが,では合格者数が当初予定の3000人となり,定数調整で合格率が7,8割となればそれでよいのか,奨学金制度が充実し学費負担がなくなればそれでよいのか,法科大学院制度の狙いとその「効き目」は何か,といったことについても突っ込んだ検討が必要ではないでしょうか。
司法修習給費制維持の主張一色の弁護士界の中で,こうした問題が隠されようとしているのではないかとの思いから,7月の学習会に引き続き,学習会を開催することにしました。
皆様是非とも御参加いただきますよう,ご案内申し上げます。
ちなみに第1回学習会についての報告文を,以下に挙げておきます。
ロースクールの過去・現在・そして未来は?
当会が呼びかけたロースクール問題の討論会が去る7月13日開かれた。法科大学院(ロースクール)は、法曹(≒弁護士)激増の基盤をなす法曹養成制度としての面と、1980年代後半の大学院大学構想から産学協同、大学の独立行政法人化、専門職大学院制度といった、従前の「リベラル」な大学を解体する流れの中にある面を持つ。さらには、弁護士会で初めて法科大学院構想を打ち出した第二東京弁護士会提言が同時に司法研修所の廃止を唱えていたように、“法曹養成の民営化”という面をも兼備するものだ。
法科大学院卒業生の報告によれば、現実の法科大学院では学生は専ら試験に役立つという観点から司法試験科目中心に科目取得し、学校でも卒業生を利用した司法試験対策が行われている。また、「法科大学院乱立の末」(7/19朝日)という事態の解決のための定員削減によって現実に起こっているのは、未習者枠の削減であるという。優秀と目された教員も離れていった。加えて、「弁護士になったけど」(同)とさえ報じられる就職難で、学生からは、「受かっても意味がない。借金ばかりが増えた。」との声があがっている。
法科大学院を支える「司法改革」(弁護士激増)、「大学改革」は、いずれも新自由主義の所産。法曹志望者も教員も幸せにしない、一部の者の利権にすぎない法科大学院の桎梏から、法曹志望者や大学を即刻解放すべきだ。
by ノムラ [「司法改革」] [法曹養成制度] [コメント(2)|トラックバック(0)]
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