コンセント利用の電力線ネット~新たな電磁波被害の温床ではないか2006年09月18日

導入は慎重にした方がよいのではないでしょうか。

コンセント利用の電力線ネット、解禁へ 天文学者ら反対asahi.com

総務省の電波監理審議会(電監審)は13日、電気のコンセントがインターネット端子になる高速電力線通信(PLC)を解禁する答申を出した。総務省は専用装置の許可手続きに向けて省令改正を行うが、電力線(電気配線)から出る雑音電波(ノイズ)で短波放送への混信や天文観測の妨害が起きる恐れがあり、反対意見も強い。答申は、混信・妨害対策の整備や慎重な装置の許可手続きなどを解禁の条件とした。

PLCは、家庭や職場の電気配線を使ってネット接続する技術。電源コードがネット回線を兼ね、余分な工事なしでネットが使える。テレビとハードディスクレコーダーをつなぐ配線が消え、電話機もコンセントでつなげるようになって、どの部屋にも移せるなどの利点が期待される。政府も01年の「e―Japan重点計画」に盛り込んで推進してきた。

電源コードとコンセントの間にPLCモデムという装置をはさんで利用する。このとき、電気配線がアンテナのように振る舞い、短波放送や天文観測に使われる周波数帯のノイズが出るのが欠点だ。計画当初から短波放送局やアマチュア無線家、天文学者から反対の声が続いていた。家庭への高速インターネット引き込み回線としての利用は見送られ、家庭や職場の屋内活用だけが検討されていた。

混信・妨害対策だけでよいのでしょうか?

電気配線がアンテナのように振る舞うということは,電気配線からアンテナのように電磁波が発せられるということなのではないでしょうか。そうすると,家庭内の電磁波の量が格段に増すことにはならないのでしょうか?

世の中には,電磁波過敏症の人もいます。こうした人が電力線ネットの敷かれた家にそうと気づかずに訪問して症状を悪化させるリスクは考えられたのでしょうか?

また,絶えず電磁波にさらされることによって電磁波過敏症を発症させるリスクというのは考えられたのでしょうか?

通信機器メーカーは、すでにPLCモデムを完成し、許可を待つばかり。10月の電子機器展示会で「家庭の各部屋が、便利で簡単にネット接続できる」点を披露する。テレビなどには、出荷時から組み込まれることが見込まれ、4年後に600万台の出荷があるという推計もある。

機器メーカーの利益よりもネット敷設による被害発生の可能性についてもっと慎重に検討すべきではないでしょうか。

社会奉仕活動の大学入試資格化とNGO2006年09月19日

ちょっと前のニュースですが・・・。

国公立大学の入学時期、9月を検討 安倍官房長官Sankei Web

安倍晋三官房長官は30日、政権構想の柱となる「教育再生」の一環として、国公立大学の入学時期を9月に変更し、高校卒業から大学入学までの間に社会奉仕活動を義務付ける改革案の検討を始めた。安倍氏は子供の学力向上だけでなく、教育を通じたモラルの回復が不可欠だとみて、こうした改革が必要と判断。首相直属で設置する「教育改革推進会議」(仮称)で、具体案を取りまとめる。

社会奉仕活動というのはどのような活動を念頭に置いているのでしょうか?高齢者介護,障碍者介護など福祉の現場が念頭に置かれているのかも知れません。では,国際協力NGOで海外スタッフとして派遣されたりすることは含まれないのでしょうか。また,そのようなNGOで,機関誌発送等の事務作業を手伝う作業を行うことはどうでしょう。

ところで,社会奉仕活動(ボランティア)を行ったことが大学入学資格になるとすると,その活動を行ったことを証明する存在が必要です。一般的には,その活動を行った場所(団体)が証明することになるのでしょう。

ではその証明はどんな団体でも可能なのでしょうか?

大学入学資格の有無を決めるものである以上,どんな団体でも出せるというわけにはいかないということになるでしょう。そうすると次に出てくるのは,大学入学資格を与える社会奉仕活動を行っている団体をどこかが認証するという話になってきます。すると,認証を行う機関を独立行政法人で・・とかいうことになるのではないでしょうか(各大学が認証するという途も考えられますが,大学は併願されることが多い状況を考えると難しいような気もします。)。

では,このような認証機関による認証は,どんな基準で行われるのでしょう。学生があるNGOで働きたい(社会奉仕活動をしたい!)と思っても,そのNGOが政府の政策に反対することの多いNGOであったがために認証を受けられない,ということはないのでしょうか?たとえば,障害者自立支援法の制定に強硬に反対していた障碍者支援団体や,イラクへの自衛隊派遣に反対していた国際協力団体には認証を与えないということにならないでしょうか。政府の施策に反対するか否かで,受験資格を証明できるか否かが決まるという点で,政府(直接には認証機関)によるNGOの選別が行われるということです。

こうした団体からすれば国策遂行のための大学受験者受け入れはごめんだということで,認証を受けられなくても結構ということなのかもしれませんが,受け入れ団体を選ぶ幅が狭まるということで受験生には不幸なことです。

(もっとも,こうした認証の問題などは提案者の脳裏にはなく,単に,無償の労働力を徴用でき,あわよくば社会福祉に関する費用の増大防止に結びつけようということしかないのかもしれません。でも,上記のようなことに考えが及ばないこと自体,社会奉仕は国策に従って当然ということの裏返しで,問題のような気もします。)

社会奉仕活動の義務化は,大学受験者に労役上の,また,経済的な負担をも押しつけるもので忌むべきものですが(この点については飯田先生のブログ(その1その2)で詳細に述べられています。),受け入れ側のNGOの事務負担の増大や,上述したようなNGOの選別に使われる危険性にも目が向けられるように思います。

参考 安倍政権で教育はめちゃくちゃに! おそろしい未来図ろーやーずくらぶ

子どもに安全な携帯電話なんてあるのか2006年09月21日

警察庁の「バーチャル(仮想現実)社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」(座長・前田雅英首都大学東京教授)は21日,子供に安全な携帯電話の提供を呼び掛ける,などの提言を盛り込んだ中間報告書を公表した。インターネットへの接続機能の無いものや,性や暴力など有害情報へのアクセスを防ぐ「フィルタリングソフト」設定を販売の基本とする,などとしている。同庁は今後,携帯電話の弊害などについて「非行防止教室」を通じ,子供に直接呼び掛ける方針。

提言は「居場所確認や緊急連絡に役立っている」と利点を指摘する一方,ネット接続から生じる問題点を列挙。▽ポルノや性行為の画像▽殺人や爆弾製造の方法ーなど違法・有害な情報に簡単に接してしまう,とした。【遠山和彦】

毎日新聞 2006年9月21日夕刊

落合弁護士のページ経由で知ったのですが,ネットには載っておらず,事務所に来ていた新聞紙面には載っていました。

そもそも子どもに携帯電話を持たせること自体,電磁波の影響なんぞ考えたら危険きわまりないことのように思うのですが。 英国の保健省下の機関である放射線防護局が,3~7歳の使用は「妥当でない」とし、8~14歳については、保護者の判断にゆだねるとしながらも、通話時間はできるだけ制限し、メールの使用をすすめている、といった実態もありますし。子どもの居場所をGPSで知らせるから便利といったことで安易に持たせたりするのについてもどうかな,と思います。