反対尋問のない被告人質問 ― 2006年11月16日
阿曽山大噴火コラム「裁判Showに行こう」で,被告人質問の際に検察官が反対尋問をしない例が挙げられており,ボツネタで「刑事事件の被告人質問で質問を全くしない検察官っているんですね」との表題がつけられていました。
でも,私の数少ない弁護経験でも,検察官が「結構です」と言って発問しなかったことがあったように記憶しています。
弁護人としては,検察官がつっこみそうだなというところについてはあらかじめ弁護人の方からつっこんで聞いてしまうということがままあり(もちろん事前の練習をした上ですが),そうした場合検察官が質問する事柄がほとんど無くなってしまい,せいぜい1,2問しか聞かないということがあります。
また,弁護人の方で検察官からつっこまれそうな事実をなくすためにあらかじめ処置しておいた(前記コラムの例で言えば,被害者への謝罪等)結果,検察官の質問事項がなくなったということもあるでしょう。
検察官の側から見ても,被告人が起訴の対象となった事実(公訴事実)を認めている事件については,被告人の供述した内容を記載した調書が証拠として使われることになっているのが通常なので,書面に記載してあることを重ねて公判廷で聞かなくてもよいと考えるのはおかしなことではありません。
民事では,無益な反対尋問はしない方がよいと言われますが,刑事にも当てはまると思います。
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