「無期」3人対「死刑」2人…強盗殺人で最高裁、異例の決定2008年02月23日

弁護士出身裁判官の質が変わってきたということなのでしょうか・・・。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080222-OYT1T00602.htm

福島県いわき市で2003年、暴力団員2人を射殺したとして、強盗殺人罪などに問われた暴力団員の岡田孝紀(29)、面川昌功(27)両被告の上告審で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)は、検察、被告双方の上告を棄却する決定をした。

決定は20日付。両被告を無期懲役とした1、2審判決が確定する。

決定は裁判官5人のうち3人の多数意見。2人の裁判官は、首謀者の岡田被告について、「死刑回避は不当」とする反対意見を述べた。過去に最高裁が2審の無期懲役を破棄した例は、連続4人射殺事件の永山則夫・元死刑囚など3件あるが、死刑か無期かで判断が分かれるのは極めて異例。

決定によると、岡田被告は03年11月、面川被告に指示し、所属する暴力団組織の幹部と構成員の2人を射殺させ、現金約30万円を奪うなどした。

涌井、横尾和子、泉徳治の3裁判官は多数意見で、「犯行は一般市民を巻き込むようなものではなかった」とし、暴力団組織内で起きた犯行だったことなどを理由に死刑を回避した2審・仙台高裁判決について、「破棄しなければ著しく正義に反するとまでは言えない」と述べた。

これに対し、検察官出身の甲斐中辰夫、弁護士出身の才口千晴の両裁判官は、「被害者が暴力団員だからといって、これを酌量すべきではない。本件が拳銃を使用した凶悪犯罪であることを重視すべきだ」などと述べ、2審判決を破棄すべきだとした。また、才口裁判官は「裁判員制度の実施を目前にして、死刑と無期懲役との量刑基準を可能な限り明確にする必要がある」と付言した。

ボツネタでも触れられているとおり,裁判官出身の涌井,泉両裁判官の方が謙抑的ですね。

それにしても弁護士出身の才口裁判官が破棄を主張するとはどういうことなんでしょう?毎日の記事によれば

「首謀者の刑は共犯者と差があるべきだ。同情すべき何らの事情もない」と同調。

したそうですから,同裁判官は,死刑を妥当と考えているのでしょう。

弁護士出身だから被告人に有利にというわけでは無いのかも知れませんが,日弁連が死刑執行停止を提言していることや,それに反して最近死刑執行のペースが速まっていることをどう考えているのでしょうか。

最近の弁護士出身の最高裁判事を見ていると,かつてのような人権擁護の担い手としての存在感が薄れているような気がします。弁護人に対して出廷命令を出した,光市母子殺害事件の裁判長も弁護士出身でしたし。

日弁連も,最高裁裁判官に推薦する弁護士の質について再検討した方がよいと思います。