国民の負担を前提に弁護士にも負担を負えと?2008年05月21日

読売新聞が,裁判員制度に対する弁護士会の対応振りを取り上げています。

裁判員制、開始まで1年「対応困難」5弁護士会

紙面では,「報酬増,複数選任がカギ」という記事が33面に載っていました。当該記事では,弁護士不足の問題について,

今後,国選弁護人の報酬増額と複数選任がどの程度まで実現するかが,一つの焦点になりそうだ。

という認識を記しており,この点は,裁判員制度自体の可否や,司法支援センターに国選弁護人推薦権があることの問題点を除けばまあ穏当なものでしょう。

しかしながら,最後に

ただ,裁判員制度では,仕事を休んで参加するなど国民も負担を強いられる。弁護士一人ひとりに,ある程度の負担をいとわずに新たな裁判を担う意識改革が求められる。

としているのには,脱力感を感じざるを得ません。

国民が負担を強いられること自体の問題性には目を瞑り,その国民の負担を前提に弁護士にも負担を求めるという論理には,あきれるばかりです。

なお,上記読売の紙面では,上記記事の反対側に但木検事総長,大谷最高裁事務総長,宮崎日弁連会長の裁判員制度についての鼎談が,また,弁護士不足のコラムの横には連日開廷実施している裁判官の記事が載っており,全体として裁判員制度に対する賛美に満ちた記載となっています。まるで,パブリシティ記事ではないかと疑ってしまうほどに。

コメント

_ h ― 2008年05月21日 16時40分53秒

「ある程度の負担」って便利な言葉ですね。
とってもとっても小さな負担で済むように見える。
さすが「言葉の詐欺師」は違うw。
そのくせ,裁判前の報道を好き勝手にやることについては既得権むき出しですからね。読売なんてのは,富山長野連続殺人事件のときに,岡っ引き気取りで冤罪の片棒を担いだんですから。

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