「交通基本法シンポジウム~交通基本法を廃案にしてよいのか?」本日開催(Ustream放送もあり)2012年05月23日

本日18時から,東京・霞ヶ関の弁護士会館において,以下のシンポジウムが開かれます。以下のチャネルでUstreamでの放映も行われるとのことです。

http://www.ustream.tv/channel/niben-2012-5-23

【交通基本法シンポジウム~交通基本法を廃案にしてよいのか?~】

http://niben.jp/info/event20120523.html

【日時】

2012年5月23日(水) 18時から20時まで

(17時45分開場・申込み不要・入場無料)

【会場】

弁護士会館 3階 301号会議室

東京メトロ/霞ヶ関駅(丸の内、日比谷、千代田線)

1-b出口から直通、A1出口から徒歩2分、C1出口から徒歩3分

【主催】

第二東京弁護士会 環境保全委員会

【出演者(予定・順不同)】

<パネリスト>

辻元清美(衆議院国土交通委員会理事、民主党国土交通部門会議座長)

古倉宗治(株式会社三井住友トラスト基礎研究所 研究理事)

佐藤清志(全国交通事故遺族の会・事故防止ワーキングチーム)

工藤一彦(当会環境保全委員会委員)

<基調報告>

中島 敏(日弁連環境委員会委員)

木内秀行(当会環境保全委員会委員)

<コーディネーター>

藤田城治(当会環境保全委員会委員)

【企画意図】

交通は、円滑な人の移動及び物流を可能とし、国民の諸活動の基礎となるものであり、何人にとっても安全かつ快適な移動(交通)が確保されるべきです。他方で、交通は、事故、騒音、振動、大気汚染その他の公害、温室効果ガスの排出等によって、国民の生命、身体及び健康、自然環境、住環境等に重大な影響を及ぼすものでもあります。

この点、現在の我が国における交通政策は、しばしば必要以上に自動車に偏ったものになっていると指摘されます。自動車に偏った交通政策は、人権(安全性・公害・生活環境)・環境(騒音、振動、CO2など)に重大な悪影響を及ぼしており、さらにローカル鉄道等地域の公共交通の衰微をもたらした、との指摘です。自動車の利便性を生かしつつも、環境・安全面で優れた他の交通手段とのバランスある総合的な交通政策が必要でしょう。

2011年通常国会に提出された「交通基本法案」は、安全かつ快適な移動の権利の保障の欠如や、国、地方公共団体又は事業者の責務の曖昧さなど、不十分な点は数多くあるものの、その制定自体が、総合的な交通政策を形作っていく上での極めて重要な第一歩といえます。

しかし、交通基本法案は本年通常国会においても国土交通委員会に付託されているものの、法案審議の優先順位は低いと言われており、十分な理由もないまま廃案の危機さえ囁かれています。

今こそ、交通問題に関する第一人者を招き、環境・人権の観点から交通基本法の必要性と課題を議論し、交通基本法制定の重要性を改めて検証する必要があります。

【お問合せ先】

第二東京弁護士会 人権課(TEL:03-3581-2257)

「救済」の範囲と本音2011年06月07日

もう10日ほど前のことだが,5月27日の日弁連総会で,「東日本大震災及びこれに伴う原子力発電所事故による被災者の救済と被災地の復旧・復興支援に関する宣言」が可決された。

この宣言では,福島第一原子力発電所事故への対応として,

(4) 国、電力会社その他原子力関係機関は、二度とこのような原子力発電所事故を繰り返さないために、原子力発電所の新増設を停止し、既存の原子力発電所は段階的に廃止すること。特に、運転開始後30年を経過し、老朽化したものや、付近で巨大地震が発生することが予見されているものについては、速やかに運転を停止し、それ以外のものについても、地震及び津波への対策を直ちに点検し、安全性が確認できないものについては運転を停止すること。

を提言している。

「廃止」をうたうのはいいのだが,「段階的」って,いつまでかかるのであろうか。その間発電所での労働者は被曝を続けるわけで,こうした被曝をできるだけ抑えようとすれば,即時廃止を訴えるか,せめてはっきりとした期限を設けるべきではなかったのか。

総会では,上記宣言案に関して,仙台の弁護士から,被災した司法試験受験生に配慮して,司法試験の受験回数や受験期間の制限について救済することを考えないのかとの質問もなされた。質問をした弁護士によると,法務省が東北地方の受験生に個別に電話をかけ,勉強に差し支えが無いか聴いたという。

これに対し執行部からは,法務省に受験生への配慮を要請したところ,法務省は該当する約500人の受験生に個別に電話をかけて調査したが,影響があるとする受験生は少なかったので特別の配慮措置は講じないと回答したという。

この回答を受けて,日弁連の法曹養成検討会議でもどう対応するか検討したが,今回の震災のみを特別に扱う理由がないということで,更なる要請等はしないことになったとのことであった。

法務省の対応はめちゃくちゃである(いかにも役人らしいといえば役人らしいが)。上記の質問をした方も言われていたが,試験運営を司る当局から勉強に差し障りは無いかと聴かれれば,差し障りがあると答えた場合に否定的評価を受けるおそれがあると考え,差し障りは無いと答えてしまうのではないだろうか。

法務省のやり方はめちゃくちゃであるが,日弁連の法曹養成検討会議の検討結果にもあきれるほかない。確かにこれまでも地震はいくつもあったかも知れないが,受験回数や受験期間に制限が設けられてからこれだけ大きな震災があったであろうか。

(まあ,中越地震の時にこのような点に配慮が及ばなかったのは,もともと受験回数制限自体否定されるべきと主張し続けてはいたものの,私自身反省すべきところではあるが。)

今回の決議,被災者の救済をタイトルにうたっているが,原発労働者や司法試験受験生といった,表には出しにくい(前者は原発事故の収束の緊急性に隠れてしまい,後者は法曹にとってはいわば将来の身内である)人たちを放置して,何が被災者救済だ,エエカッコしいだけではないのかと思わざるを得ないという思いが強く残るものである。

弁護士会における崎山比早子氏の講演録「放射線は身体にどのような影響を与えるか~福島第一原子力発電所事故を踏まえて~」2011年04月18日

2011年3月28日に行われた標記講演会の講演録が第二東京弁護士会のサイトにアップされています。

→こちら(講演録本体は左記ページ上のPDFファイルになります。)

1ミリシーベルトとは何を指すのか(11頁),放射線障害から回復するということと,普通の病気が治ると言うこととの違い(14頁),CTを1回撮った場合の線量と比較することの問題点(16~17頁)など,世間で問題とされていたことについて分かりやすく解説されていました。メモと講演録をもとに感想を・・と思っていますが,いつになるか分からないので,とりあえず紹介だけにとどめておきます。

シンポジウム「交通基本法を徹底解剖する!」2011年03月02日

(2011/3/14) 標記シンポジウムは地震の影響により,開催延期となりました。

第二東京弁護士会環境保全委員会では,今国会で交通基本法案が上程される可能性があることを踏まえ,標記のシンポジウムを開くとのことです。

地球温暖化、大気汚染、年間5000人を超える交通事故死、路上で遊べない子供たちや商店街の空洞化。

現代の都市が直面する問題をつきつめると、かなりの確率で「くるま依存社会」=モータリゼーションの問題に行きあたります。

政府は、2011年初頭の通常国会に「交通基本法」(案)を提出し、成立を期する意向を表明しています。

交通基本法は、フランス・イギリスで制定されていますが、今回日本でも成立すれば、21世紀初のものとなります。

他方、最近発表された法案では、核心とされた「移動権の保障」条項は含まれておらず、かつ、政局の流動化にともない法案の成立自体を危ぶむ声も聞かれます。

日弁連・当会は、これまでの自動車にかたよった交通政策が、人権(安全性・公害・生活環境)や環境(開発・CO2)に大きな影響を及ぼしていることを踏まえ、環境・安全面で優れた他の交通手段とのバランスある政策の実現を訴えてきました。

かかる視点から議論に一石を投ずるべく、去る11月16日、当会は「第二東京弁護士会による交通基本法試案」を含む提言を発表いたしました。

また、日弁連も12月16日に、「交通基本法制定に関する意見書」を公表いたしました。

果たして、政府がめざす交通基本法はどのような次世代社会の道筋を示すものになるのか。わが国の交通政策論議を牽引してきた第一人者の方々を招いて、その成立の動向と共に徹底解剖いたします!

【日時】

2011年3月16日(水) 18時から20時まで(17時45分開場)

(申込み不要・入場無料)

【会場】

弁護士会館 10階 1003会議室 東京メトロ/霞ヶ関駅(丸の内、日比谷、千代田線) 1-b出口から直通、A1出口から徒歩2分、C1出口から徒歩3分

【主催】

第二東京弁護士会 環境保全委員会

【出演者(予定・順不同)】

辻元清美氏(衆議院議員、同国土交通委員会筆頭理事)

寺西俊一氏(一橋大学大学院経済学研究科教授、環境経済学)

望月真一氏(建築家、カーフリーデージャパン代表)

中島敏(弁護士、日弁連公害対策・環境保全委員会委員)

パネル司会:藤田城治(弁護士、当委員会都市交通部会 副部会長) ほか

【お問合せ先】

第二東京弁護士会 人権課 藤田(TEL:03-3581-2257)

ザ・コーヴ騒動について思うこと(ネタバレあり)2010年06月22日

昨日弁護士会館に出向いたところ,ザ・コーヴという映画に関するシンポジウムが開催されていた。

今日事務所に出たら,シンポジウムでか,関係者宛にということでか配られたとおぼしき同映画のパンフが。

パンフを見たが,この映画で表現されている点で注目すべき点があるとすれば,他の食物であれば規制値を超えることとなる量の水銀がイルカの肉に含まれている,それが学校給食にも使われていた,ということだろう。

これが,キケンなイルカを食べさせるな,と言うのならば,その趣旨にもうなずけなくはない。ただ,それはイルカ漁の是非とは別の話のはずである。また,イルカを鯨と表示しているというシーンもあったが,それ自体は食品表示の問題で,イルカ漁の是非とは別である。しかしこの映画では,水銀の話,食品表示の話に,さらに,イルカの屠殺のシーンが組み合わされていることで,イルカ漁への否定的評価が観客にすり込まれるようになっていると感じた。表現の自由は重要だから上映中止などはおかしいと思うが,公正な表現ではなさそうだなと感じるものだ。

ちなみにイルカが水銀に汚染されているのが問題だというアピールがなされていると知って私が思ったのは

水銀に汚染されていないイルカの肉が食べたい

ということだった。

食物連鎖の最上層に属するイルカだから自然に水銀が蓄積されてしまうのか,規制値を超える値まで蓄積されるのは海洋汚染が激しく進んだことによるのか。そういったところにも目を向けて,どうやったら汚染されていないイルカ肉が入手できるのか,といったところにも触れてくれれば評価できる映画になったかもしれないのにと思う。

『シンポジウム・クルマ社会を考える~「真に必要な道路」を問う』のお知らせ2009年02月18日

「クルマ社会を考える」シンポジウムとして,以下のシンポジウムが開かれることになりました。いずれ二弁のサイトにもアップされるでしょうが・・・

『シンポジウム・クルマ社会を考える~「真に必要な道路」を問う』

政府・与党は、2008年12月8日「道路特定財源の一般財源化等について」を公表し、「今後の道路整備に当たっては、最新のデータに基づく交通需要推計結果をもとに、見直した評価手法を用いて厳格な評価を行う」と述べている。

では、その後公表された各種の方針は、無駄な道路事業を廃し、政府が掲げるバリアフリー社会、温暖化の防止、交通事故・大気汚染・騒音等の減少、交通の快適性等の目標を実現できるのか?景気と財政がともに急速に悪化する中、道路事業は経済・地域の活性化にどこまで有効なのか?

二大政党の政策責任者をはじめ論客を招き、環境と調和したこれからの交通政策を考えます。ご来場をお待ちしております。また、関心のある知人の方にも是非お知らせください。

登壇者(予定・順不同)

菅 直人 (衆議院議員、民主党代表代行)

山本 有二 (衆議院議員、自由民主党道路調査会長)

寺西  俊一 (一橋大学大学院経済学研究科教授)

国土交通省 (交渉中)

中島 敏 (弁護士、当会会員)

パネル司会 石黒 徹 (弁護士、当会会員)

冒頭挨拶 庭山正一郎 (弁護士、当会会長)

主催 第二東京弁護士会 環境保全委員会

http://www.niben.or.jp/

2009年3月18日(水) 18時~20時30分

弁護士会館 3階会議室 (地下鉄霞が関駅 B1-b出口より直通、A1出口より2分、C1出口より3分)

入場無料・予約制 (kankyo@niben.or.jp 若しくは 03-3581-2257 川村まで、人数と代表者氏名をお知らせください)

グリーンピースメンバー逮捕で問われる日本の人質司法2008年06月21日

調査捕鯨で捕られた鯨肉の横領を告発しようとして,運送会社の倉庫にあった鯨肉を持ち出したグリーンピースのメンバーが逮捕されましたね。

この逮捕,ヤメ蚊さんのブログによれば,

逮捕当日、新宿署に事情を説明するために出頭をすることにしていたところ、その直前に任意での事情聴取の機会もないままに逮捕されました。

というのだから,逮捕の要件である証拠隠滅のおそれなどがあったのかどうかそもそも疑問です。

ところで,彼らに窃盗罪が成立するかどうかについては,いわゆる不法領得の意思の有無が問題になります。盗った物からの経済的効用を受けようとして行う犯罪は,誘惑的要素が強いために,強く禁圧すべきであるというのが,窃盗罪を器物損壊罪よりも重く処罰する理由であって,したがって,窃盗罪と器物損壊罪の区別のために,物の経済的用法に従い利用処分する意思が窃盗罪の成立には必要とされるのです(不法領得の意思にはもう1要素あるのですが,本件とは関係がないと思うので省きます。)。

この不法領得の意思,故意と同じように人の内心(主観)ですから,単純に考えると,直接に基礎付ける証拠としてまず考えられるのが自白です(もちろん,客観的事情からも裏付けられるんでしょうが・・)。

おそらく,権力側は,この逮捕によって,国策に抵抗するとどうなるかという威嚇をするとともに(逮捕したのが警視庁の公安部であることはこのことの証ではないでしょうか?),今後,不法領得の意思の有無についての自白を得ようとしていくものと思われます。

しかし逮捕勾留は本来自白獲得のために行われるべきものではありません。グリーンピース・ジャパンの報告によれば,

すでに詳細な事実関係を記した上申書を作成して東京地検に提出し、青森県警にも写しを送付しており、さらに関係者はいつでも出頭に応じると伝えてありました。

とのことですが,このような状況下,仮に警察が,グリーンピース側が犯罪の成立を否認しているからとの理由で逮捕したのであるとすれば,自白獲得のために被疑者自身をいわば人質とした人質司法の現れではないかと言わざるをえません。

グリーンピースは国際的な団体であり,今回の告発も国際的な関心を呼んでいるものと考えられます。今回の逮捕,そしてその後のメンバー2名に対する処遇が国際的に注目されることは確かでしょう。

日本政府は先般の国連人権理事会に引き続き恥をさらすような真似はやめた方がよいと思うのですが。