臓器移植・代理出産等で無償性を強調することの欺瞞2006年11月22日

最近,患者間の対価のやりとりを伴った臓器移植や,「謝礼」を支払ってやってもらう代理出産など,「高度医療」「生殖補助医療」に対価の提供が伴う例が議論となっています。

臓器移植や代理出産が有償で行われることは問題だと私も思います。では,「無償」で行われればいいとする議論に問題はないのでしょうか?

代理出産についてこれを積極的に進めようとする医師は,有償で行われることを問題視し,ボランティアで行うものならばよいとするようです。

しかし,全ての関係者が「無償」でやっているのでしょうか?推進論者であるこの医師は「実費相当分」を含め一切の対価を受け取っていないのでしょうか?

臓器売買についても同様の問題があります。

「脳死」者からの臓器移植についても,金員のやりとりが発生しないわけではありません。関係する人や組織は対価を得て施術や臓器運搬などの業務にたずさわっているのです。

無償性を強調する人自らが,「実費相当」という名目ではあっても金員を授受している。これが欺瞞でなくてなんでしょうか。自分たちの儲けや新規業務開拓や研究のために行って,しかも仮に実費相当であるとしても費用を取っている者は,ドナーや代理出産者に対して費用を取ることを非難することはできないでしょう。

「無償」の行為とされているものについても,お金が利害関係者の間で動いているという事実をふまえた議論が必要だと思います。

コメント

_ ブロガー(志望) ― 2006年11月28日 21時31分59秒

先日はレスありがとうございます。
 マックス・ウェーバーは宗教に関して「カリスマである
教主と現世利益にのみ関心がある一般大衆がいて、そ
の間に教団の幹部がいる。幹部は教主からカリスマを
分けてもらいながら一般大衆に現世利益を約束する。こ
うしてできたのが『史上最大の収奪組織』である中世
ローマ・カトリック教会である。聖職者の中には世俗の
君主よりもひどい事や残酷な搾取を行った者もいた。」
といった事を述べているそうです。

・代理出産者及び臓器提供者:カリスマ
・関係する人や組織(医師他):幹部

で代理出産者及び臓器提供者の「無償の善意」を”分
けて”もらってやっているというところでしょうか。

 それから消費者金融ですが、自分にはその必要性が
分かりません。「銀行から融資を受けて事業を行い、儲
けを銀行と山分け」なら双方に得るものがありますが、
消費者金融から借りてもそれは「消費」に使われるだけ
ですから、結局のところ「利子の分、業者にお金をあげ
ている」のでしかありません。「消費者金融サービス」と
いう「商品」にそれだけの「紅葉価値」があるのでしょう
か。
 消費者金融業界大手が揃って減益だそうですが、今
までがおかしかったのではないでしょうか。

_ 肝臓移植について ― 2011年02月10日 15時58分24秒

こんにちは。
臓器移植について調べていてこちらのサイトを拝見致しました。
肝臓移植や腎臓移植など、わからないことが多く不安に思う方々がいると思います。
そんな方々に少しでも情報提供をできればと日々、勉強と努力をしています。
貴サイトにありました情報や意見は大変参考になりました。
ありがとうございました。

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