キャラ代に予算消化するより国選弁護費用に回してほしい ― 2008年05月24日
各地方ごとに割り当てられた予算を消化するために作ったとしか思えません・・・。
今日は事件がないのか,事務所に置かれていた夕刊のトップに載っていました。
全国の検察庁や裁判所、弁護士会が来年5月に始まる裁判員制度に向け、計60を超すマスコットキャラクターを独自に考案して、広報イベントやポスターに登場させている。
法律家の堅いイメージからの脱皮に懸命だが、PRの専門家は「裁判員制度に結びつかないキャラクターも多く、国民の理解につながらないのでは」と首をかしげている。
(中略)
キャラクターに最も熱心なのは検察庁。落花生をモチーフにした「らっか正義君」(千葉地検)、新選組の隊士に似せた「まこと君!」(京都地検)など、40の地検・高検で計60のキャラクターが「乱立」する。
イチゴの形の「べりぃちゃん」(宇都宮地検)、「浪花のたこべぇ」(大阪地検)などは特産品の宣伝と間違えそう。「わらなっちゃん」(水戸地検)は「納豆のように粘り気があり、裁判で議論したら納得するまで引かない」、雪だるまの「ユーキー」(札幌地検)は「YOU KEYという英語で、裁判員制度はあなたが鍵という意味を込めた」というが、果たしてどこまで真意が伝わるか。
千葉地裁は地検に対抗するように、落花生に法服を着せた「ピー太くん」「ナツ実ちゃん」を登場させた。長野地裁もライチョウの「トライくん」「ライムちゃん」を携帯電話のストラップにして配っている。
何でこんなところに地方分権を及ぼさなければならないのか疑問ですね。各地検,地裁に割り当てられた裁判員制度広報予算の消化のために作ったとしか思えません。そんな金があったら国選弁護の報酬に回してほしいと思います。もっとも,私は,司法支援センターとの契約を拒否しているので国選弁護はやれませんが・・。
でも,弁護士会もキャラクター制定を非難できないんですよね。下記のように,日弁連自らキャラクターを公募したくらいですから・・・。
一方、日本弁護士連合会は今月21日、統一キャラクターとして、サイにてんびんを持たせたデザインの「サイサイ」を発表。「信念を曲げない強さでサイ判員制度に臨む」(広報室)と説明する。
サイサイのデザインはこちら(PDF)の日弁連のサイトに掲載されています。賞金の原資って私たちの会費なんですよね。ハァ・・・。
紙面に掲げられているキャラクターを見ると,法曹三者に本当に裁判員制度をまじめに推進しようとする気があるのか疑問を感じますし,広告代理店やクリエイターの食い物にされているだけではないかという気がします。まあ,制度の痛さをキャラクターの痛さに反映させているという点では,ある意味広報物として成功しているのかもしれず,その意味ではいい仕事だといえるかもしれませんが。
追記(6/4):「サイバンインコ」が全国統一キャラに昇格したようですね。法相絶賛 サイバンインコ、統一キャラに“昇格” 裁判員制度PR(MSN産経ニュース)
サイバンインコを採用していたのは福岡高検ですが,福岡って法相の選挙区なんですよね・・・。まあ,地元の高検にこんなことで媚を売ったからといって得票率が上がるとも思えませんから,選挙対策などではないんでしょうが。
コメント
_ h ― 2008年05月24日 18時11分35秒
_ ノムラ ― 2008年06月03日 23時49分20秒
裁判員になった人の負担をゆるキャラでごまかしてやれ,としているようにも見えますね。
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オーストリアやイタリアは,たしか参審制みたいなのがとられてますが,こんな馬鹿なキャラクター使わなくても,ごく普通に機能しているんですが…。日本の役所は,日本の庶民は,こういう馬鹿キャラでつらないとこっち向かないと思っているんですかね。