大阪での日弁連総会に出席してきました2008年06月02日

先週末,大阪で行われた日弁連総会に出席してきました。

東京以外で開催される日弁連総会に出席するのは初めてです。

会場は大阪の新弁護士会館。大層立派な建物なのですが,会場となったホールのホワイエは何か暗い感じがしました。

会議では,冒頭に日弁連会長のあいさつがありました。法曹人口問題については,今年の司法試験合格者決定時期までに暫定的提言(3000人の到達時期延期がその内容になりそうな言い振りでした。)を行い,任期末まで(つまり2010年3月まで)に本格的提言を行うとのことでした。「暫定的」提言について具体的時期はいつかと質問したところ,今年7月とのことでした。どんな提言になるのでしょう?

今回は定期総会なので,予算決算についての審議が行われました。予算案について,新規登録予定者を1850人と見積もっていることの根拠について質問しました。執行部は予算案の説明時,2250人の61期修習生のうち,手堅く見積もって1850人が登録するものとして計算したと説明していたので,「手堅く」ということの具体的内容について説明を求めたものです。

これに対する執行部の回答は,新61期については1851名中1400名が弁護士登録すると見積もった(善解すれば,予算なので低めに見積もったということなのでしょう。),というものでした。旧61期については450名が登録すると見積もったということになりますね。

この1850人という登録予定人数については,弁護士登録希望者2250名に対してそれだけしか登録できないとするのは修習生に対して失礼である,執行部はそのような状況を作ったことに対する責任をとれという意見と,逆に,61期の置かれた就職難の状況を考えると1850人という登録予定人数でも多すぎるのではないかという意見がありました。いずれも,執行部が激増政策を直ちに見直すと言明しないことについて批判的な見地から出されたものです。

討論の中では,60期の弁護士で,ノキ弁や,弁護士1人の事務所に雇われた人で辞めていく人が続出しているという話が衝撃的でした。ボス弁から,弁護士会に1人増えれば収入が2倍になると言われて雇ってみたが2倍にならないとか,事件を取ってこないなどと言われて,罵倒されたり,更には給与を一方的に切り下げられたりするケースが見られるとのことです。

この点について詳しくは,総会当日に配布した小冊子『弁護士だってワーキングプア?~若手弁護士を踏みつけにする新自由主義・司法改革にNO!』(頒価200円)をご覧ください。これは,今年4月18日に行った集会 における発言を集めたものです。

なお,私も,予算案について,3000人の即時見直しが前提となっていない,また,日弁連法務研究財団の法科大学院認証評価事業に補助金を出しているといったことなどを理由に,予算案に反対する旨の意見を述べました。(私が日弁連法務研究財団の法科大学院認証評価について抱いた疑問はこちらに述べたとおりです。)

今回は久しぶりの大阪行きであり,同期の坂野さんにお会いする予定だったのですが(刑事裁判修習でご一緒しました。),当番弁護に当たられたためにお会いできなかったのは非常に残念でした。

ところで,以前大阪で修習していた際,淀屋橋駅地下のたこ焼き屋によく行ったのですが,今回探したところ,見あたりませんでした。なくなってしまったのでしょうか?

コメント

_ h ― 2008年06月03日 19時28分25秒

>ボス弁から,弁護士会に1人増えれば収入が2倍になると言われて
>雇ってみたが2倍にならないとか,事件を取ってこないなどと言われ
>て,罵倒されたり,

んー。ネタ度を多少割り引いて考えるとしても,これはそもそもボス弁(ボス「便」と言っても良い)の性根が腐っているのではありませんか?
配下が一人増えると収入が2倍になるわけがないことくらい,普通の経営をやっていれば判るでしょう。こんなのは司法改革以前の問題というか,こういう馬鹿でも,これまではのうのうと食いつないでこれたことが白日の下にさらされたことだけでも効果はあったと言えますね。

_ ノムラ ― 2008年06月04日 00時10分56秒

>hさん
>配下が一人増えると収入が2倍になるわけがないことくらい,普通の経営をやっていれば判るでしょう。こんなのは司法改革以前の問題というか,こういう馬鹿でも,これまではのうのうと食いつないでこれたことが白日の下にさらされたことだけでも効果はあったと言えますね。

うーん,本来は弁護士を雇うべきでない(その資質の無い)人に弁護士を雇わせてしまうようになったことが,激増による悲劇なのではないかと思います。

_ h ― 2008年06月04日 00時50分08秒

このような輩は,一人事務所の弁護士としても存在すべきではないと思いますが。たまたま勤務弁護士を通じて,一見すると双方が被害者のような形で「悲劇」が顕在化しましたが,これまでは依頼者が見えない悲劇の一方的な犠牲者になってきたのではないでしょうか。
少なくともひと一人を雇うことの意味すらわからない人間が,まともな仕事をしていたとは思えないですね。

_ ノムラ ― 2008年06月04日 07時02分58秒

>hさん

悲劇という用語が誤解を招いたのかもしれませんが,この場合の「悲劇」の被害者はあくまでも勤務弁護士のみと考えています。経営感覚の欠けた弁護士の存在が明らかになるという「効果」に比して,勤務弁護士の被る不利益は余りにも甚大なのではないか,そうだとすると激増はやはりおかしなものだと思います。

>少なくともひと一人を雇うことの意味すらわからない人間が,まともな仕事をしていたとは思えないですね。

外づらと内向けの顔の異なる人はこの業界に限らず存在している気がするので,そこまで言い切るのには躊躇を覚えます。まあ,勤務弁護士に対してパワハラを行うこと自体人間として許せんですし,非行に当たるのではないかとは思いますが。

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