桐蔭横浜と大宮、法科大学院で初の統合~「勝ち組」向け法科大学院の終焉2011年08月09日

久保利英明氏以下の歴代二弁会長経験者はこの結果をどう総括してくれるのでしょうか。

日経記事

桐蔭横浜大学法科大学院と大宮法科大学院の統合について(大宮法科大学院と横浜桐蔭法科大学院の記者向け共同発表文)

桐蔭横浜大学法科大学院との統合について(大宮法科大学院学長の学生,修了生向け報告文)

私の属する第二東京弁護士会(二弁)は大宮法科大学院に関し,その経営母体である佐藤栄学園と提携しています。今回の「統合」ですが,「統合」とはいいながら共同発表文に

学校法人桐蔭学園の下で、新たに「桐蔭法科大学院」として運営していくことに合意しました

とあることから,佐藤栄学園が事業を譲渡して法科大学院の経営から撤退したと見るのが妥当でしょう。

二弁はこれを機に(できれば直ちに)法科大学院の運営への関与から手を引き,間違っても桐蔭学園との提携などしないでいただきたいものです。

しかし,大宮法科大学院の柏木俊彦学長(二弁の弁護士です。)の報告文ですが,

現在の法科大学院の状況を打破し、将来に向けて、法科大学院制度を定着、発展させるためには、理念と制度設計を共有する法科大学院の統合が最も適切な選択であると考えます。司法制度改革審議会の意見書の掲げる法曹像に共鳴し、大宮の修了生、在学生と私ども教職員とで熱く共に作り上げてきた本学は、その教育理念を持続的に発展させるべく、桐蔭横浜法科大学院との統合に踏み切りました。

って,依然として司法制度改革審議会意見書を是とする考え方を変えないのですね。「撤退」を「転進」と称した戦前の日本軍みたいで,見苦しいと言わざるを得ません。

また,

今後は本学と桐蔭横浜法科大学院とを連続した一体の法科大学院ととらえ、多様な法曹の養成という松明を、より明るく、より強く、より確かなものとするために引き続き努力していく所存です。

って,二弁に対し大宮大学院大学に対するのと同様の協力をと言っているようで,いやらしいことこの上ありません。まあ,大宮の運営陣や教員からしてみたら,統合に当たって少しでも有利な条件をひきだすために「手土産」として二弁の協力がほしいのかもしれませんが,新法曹養成制度自体に制度発足当初から一貫して反対してきた私としては,もうこれ以上の協力は御免被りたいと思います。

※大宮法科大学院関連過去記事

「勝ち組」向け法科大学院の現状から考える

新法曹養成制度~誰をどう「救済」すべきか?

「勝ち組」用であることを誇る法科大学院関係者が自己責任論を唱えているが・・・

法科大学院と司法試験~もう切断しかない

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
三権分立といった場合の三権とは,立法,行政と何?(答:司法)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://nomura.asablo.jp/blog/2011/08/09/6037139/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。