任期付職員募集要項から垣間見るNPO制度見直しの問題点 ― 2007年05月18日
先日日弁連から来たメールマガジンに以前の勤務先(当時は経企庁)の募集が載っていたので日弁連サイト内の募集要項(会員専用ページ)をチェックしてしまいました。以前も同様の募集があったように記憶していますが,企業法務などの実務と縁遠いから人気がないのでしょうか。
任期付職員(内閣府国民生活局総務課)の採用について
内閣府国民生活局において下記の要領で任期付職員1名の募集が行われていますので、お知らせします。
記
1. 職務内容
国民生活局が所管する各種法制度に関する個別の立案、解釈、運用等を行うにあたっては、国民生活行政の観点から、所管法制全体を勘案した適切な判断が必要となっている。
今回採用を予定している任期付職員には、司法分野での専門的知見を活かし、国民生活行政に関連する法制度全体との整合性、有機的関連性を照合しつつ、現在国民生活局で取り組んでいる政策の企画立案、運用等を行っていただきたい。
その際、現在懸案となっている以下の問題について、特に重点的に御担当いただきたい。
○ NPO法人制度の適切な運用
市民活動の促進に関し、とりわけ行政でも営利企業でもない第三の主体であるNPO法人は、国民の多様な要望に応え得る組織として、大きな役割を期待されている。
1998年12月のNPO法施行から8年以上が経過し、認証されたNPO法人数も 約3万となる(2007年1月末現在)など制度の定着化がみられ、今後も、法人数は一層増加していくと見込まれている。その一方で、法人格の取得が比較的容易であることもあって、特定非営利活動を主たる活動としない法人、公益に反するおそれのある法人などが増加しているのも実情である。こうした法人を放置しておけば、健全なNPO法人の活動にも支障をきたし、ひいては市民活動全体の発展まで阻害されかねない。
このような状況に対処していくためには、NPO法人制度の適切な運用、すなわち、認証時の判断基準の明確化あるいは監督時の改善命令発動基準の明確化、暴力団排除の実効性確保などが重要であることから、これらの課題に対する措置について検討・具体化を行う。
加えて、NPO法人の情報開示を一層促進していく観点から、法人に関する情報を総合的に検索することのできるシステムの拡充や、NPO法人が準拠すべき会計基準の策定などの検討・具体化を行う。
また先般、公益法人制度が抜本的に見直され、2006年5月に公益法人制度改革関連法として成立した。この新たな公益法人制度の中で、NPO法人制度は引き続き存置することとされたが、大きく変わることとなった非営利法人に係る体系の中でのNPO法人制度のあり方が課題となっている。こうした状況の下、NPO法の改正も含めた対応について検討・具体化を行う。
2.任期(以下略)
上記募集要項中の記載でまず気になるのが,
NPO法人制度の適切な運用、すなわち、認証時の判断基準の明確化あるいは監督時の改善命令発動基準の明確化、暴力団排除の実効性確保などが重要であることから、これらの課題に対する措置について検討・具体化を行う。
という部分です。
NPO法制定の際には,認証時の判断基準,監督時の改善命令発動基準などについて,政府の恣意性を排除するために,極力法律本体の中に書き込むこととされ,政令,省令への委任は極力排除されています。
それでもなおあいまいな部分は残ったのですが,今回そのようなあいまいな部分を明確化するという場合,法律の改正で対応するのでしょうか。政令や省令によるということだとNPO法立法者の意思に正面から反するので,それは避けるべき楊に思いますが・・。
また,
法人に関する情報を総合的に検索することのできるシステムの拡充や、NPO法人が準拠すべき会計基準の策定などの検討・具体化を行う。
とされている点についても,徒らにNPOの事務的負担を増やさないか気になります。
そもそも,行政の裁量を極力排除するという見地から議員立法という形で制定された法律について,行政庁が改正法案を検討するというのはどうなのか?という気がします。国会議員が中心になって改正法の検討を進めるべきではないでしょうか。
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