冷遇される法科大学院生、就職は狭き門2011年07月01日

韓国の話だが・・・。

http://www.chosunonline.com/news/20110628000055

http://www.chosunonline.com/news/20110628000056

日本から韓国を視察に行った司法改革推進派の弁護士の中には,韓国は日本と異なり法学部をなくしたからうまくいっている(暗に日本の法科大学院がうまくいっていないことを認めている)などと言う人がいたが,中に入った学生の立場からすると,かなり厳しい状況のようだ。

韓国では来年1月に,ロースクール第1期生に対する弁護士試験が行われるが,1期生として入学した学生2000人のうち,試験に合格できるのはおよそ1500人とか。日本の司法研修所みたいな制度は,旧制度ではあった(司法研修院)が,上記の記事を見た範囲では,ロースクールを出て司法試験に合格したら直ちに弁護士などになるということであろう。

このような養成課程と,75%の合格率(今回が第1回ということで,本当にそれだけの合格者を出すのか疑問だが)ということを考え合わせると,2000人の合格者のうち就職先が決まっているのが300人というのはかなり厳しい状況だ。

法科大学院の学費も,記事に出てくる学生の場合,1学期で約61万円と,日本の法科大学院と比べても遜色のない高さである。このまま大企業や法律事務所に就職できないと路頭に迷う,年俸が(これまでの司法研修院の修了生に比べて)半額でも4分の1でも就職できればいいというのは切なる願いなのであろう。

しかも韓国では法学部廃止の余波か,法科大学院学生の約半数を占める法学部出身者が冷遇されているという。それにしても「法学部出身者はひたすら法律ばかり勉強してきたため柔軟な思考ができない」って,どんな偏見だよ・・。

記事で就職先として取り上げられているのがソウルの法律事務所や大企業法務ということで,他にも就職先はあるだろうとは思うが,学生に人気なのはやはり大法律事務所や大企業ということらしい。仄聞する学歴競争事情や財閥の影響力などからすると,この辺は日本以上に大事務所,大企業指向が学生に強いのかなとも思う。

韓国については,先行した日本の司法改革を横目で見ながらその失敗点を回避するように動いたという評価がなされることもあるけど,やはり,具体的な需要を精査せずに行った供給増は悲惨な結果を生むという点は共通ということだろう。

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