アフガンで静岡出身31歳男性拉致される2008年08月26日

http://www.asahi.com/national/update/0826/TKY200808260203.html

外務省に26日入った連絡によると、アフガニスタンで活動する日本のNGO「ペシャワール会」職員で静岡県出身の伊藤和也さん(31)と現地の運転手の計2人が現地時間同日朝(日本時間同日昼)、同国東部のジャララバード近郊で拉致された。

私自身,アフガニスタンで活動しているNGOに関与していることもあり,他人事とは思えません。

略取誘拐された人が無事で戻ってくることを祈っています。

ところで,アフガニスタンで略取誘拐というと,タリバンの仕業ではと思われる向きもありましょうが,今回の事件についてはタリバンは関与を否定しているようです。以下のニュース(共同通信配信記事)でもタリバンによるものではないとの見方が示されています。

拉致された日本人は静岡出身のNGOメンバー 運転手とともにMSN産経ニュース

同会(管理人注:ペシャワール会)はダラエ・ヌールの診療所で医療活動を行っているほか、ジャララバード近郊で用水路を建設。同会報道担当者のヌール・ザマン氏は「現在のところ伊藤さんが負傷したとの情報はない。地元住民が米軍の活動に反発して勘違いした可能性がある」と述べた。(共同)

地元住民の米軍に対する反発は強いのでしょうか。

SVAのサイクロン被害救援活動についてその22008年05月13日

前記事の続きです。

SVAからのプレスリリース第2号が出たので転載します。

なお,SVAでは昨年末のバングラディシュのサイクロン被害に対する緊急救援活動も行っていますので,そちらへの支援もお願いします。

 ◆◆ミャンマー(ビルマ)・サイクロン(台風)被害 緊急救援事業Vol.2◆◆~救援活動を開始!~

2008年5月12日発行

社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)

▽本リリースの印刷用PDFファイル

http://sva.or.jp/eru/myanmar/images/myan20080512.pdf

▽ミャンマー(ビルマ)・サイクロン被害 緊急救援事業ホームページ

http://sva.or.jp/eru/myanmar/

今回のサイクロンの被害は、5月11日の国連(OCHA)の推計によると、死者10万2千人、行方不明者22万人という可能性が発表されました。多くの方が亡くなっただけでなく、この瞬間にも被災地では人々が路頭に迷っています。SVAでは緊急救援物資を被災者へ届けるべく活動を開始いたしました。

◆被災地の状況◆

本日12日現在、SVAの元には現地の状況が伝わって来ています。

犠牲者の多くはミャンマー(ビルマ)南部の「エヤワディ管区」などの海岸線や中州地帯に集中しています。水辺で暮らしていた多くの方が犠牲となりました。今も泥水の中に、たくさんの子どもたちの遺体が浮いているのが被災地の真の姿です。

生き延びた方々も厳しい環境にいます。強風や濁流により家を失った人々は、190万人を超えるとも伝えられています。多くの方は、近所のお寺や学校に身を寄せていますが、水や食料が足りないという事、また衛生環境が悪化する中で、医薬品が足りていないために感染症や伝染病が蔓延する事などが心配されています。

▽家屋を失い仮の小屋に身を寄せる家族 (Photo:DKT) http://sva.or.jp/eru/myanmar/images/20080512-1.jpg

◆SVAの救援活動◆

現在当会では、緊急救援物資の配布を計画しています。不足している水や食料、医薬品の他に仮住まいを作るための資材なども検討しています。

当会では、タイ・ミャンマー(ビルマ)国境の難民キャンプでの活動を続けてきた強みを生かして、現地のNGOや国際仏教団体などと調整を始めており、これらの組織を通じて、ミャンマー(ビルマ)国内の住民組織と協力を図っています。

政府の支援が届かない人々を対象に、被災地内で緊急救援物資を直接配布する事を計画しております。

▽浸水した屋内に避難する村人たち (Photo:DKT)

http://sva.or.jp/eru/myanmar/images/20080512-2.jpg

◆募金受付を開始いたしました◆

今回の未曾有の災害に際して一人でも多くの被災者の支えとなるべく努めていきたいと思います。皆様にご支援をお願い申し上げます。

■募金受付の郵便振替口座■

加入者名:社団法人シャンティ国際ボランティア会     

口座番号:00150-9-61724

※通信欄に「ミャンマー・サイクロン」とご記入ください

※郵便局からの振り込み手数料は免除されます

※特定公益増進法人への寄付として、所得税及び法人税の優遇措置があります

■お問い合わせ■

(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)東京事務所

緊急救援担当:白鳥

〒160-0015 東京都新宿区大京町31慈母会館2・3F

TEL:03-5360-1233

FAX:03-5360-1220 

URL:http://www.sva.or.jp/

E-mail:eru@sva.go.jp(小文字に直してください。)

四川省も大変だけどミャンマー(ビルマ)も忘れないで2008年05月13日

中国の四川省で発生した地震は大変な被害になりそうですが,その陰でニュース量が少なくなっているミャンマー(ビルマ)のこともお忘れ無く・・ということで,管理人が関わっているNGOの緊急救援事業のお知らせです。

-----以下転載----

 ◆◆ミャンマー・サイクロン(台風)被害 緊急救援事業Vol.1◆◆~ 救援活動を開始します! ~

2008年5月9日発行

社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)

▽本リリースの印刷用PDFファイル

http://sva.or.jp/eru/myanmar/images/myan20080509-1.pdf

▽ミャンマー・サイクロン(台風)被害 緊急救援事業ホームページ

http://sva.or.jp/eru/myanmar/

ミャンマー(ビルマ)中・南部を2008年5月2日から3日にかけて直撃したサイクロン「ナルギス」による被害に対して、(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)は緊急救援活動を開始します。

今回のサイクロンの被害規模は、死者2万3千名・行方不明者4万2千名とマスコミが、報じているほど甚大です(5月9日現在)。インド洋で発生する「サイクロン」はしばしばベンガル湾沿岸に大被害をもたらしており、ミャンマー(ビルマ)としては今回が史上最悪の被害となりました。

当会はサイクロン発生直後より、事業地であるタイ国内のミャンマー(ビルマ)難民キャンプおよびミャンマー(ビルマ)人のネットワークを通じて情報収集を行っておりました。

この度、被災規模の大きさを考慮し、救援活動を開始いたします。

▽被災地の様子(ロイターHP) http://jp.reuters.com/news/pictures/slideshow?collectionId=1827&galleryName=All%20Collections#a=1

同国は「軍事政権下」にあるために、事前の調査活動や緊急救援事業実施においては、どこまで自由に国内移動が出来るのか、または、どこまで効率的な活動が行えるかについては不透明な部分もあります。しかし、当会は、タイ国境の難民キャンプにおいて「ミャンマー(ビルマ)難民事業」を継続してきた地の利と、ネットワークを活かした緊急救援活動を検討しており、被災地では、現地住民組織と協力し、以下のような救援活動を実施する予定です。

◆緊急物資の配布事業 ※状況に応じて変更の可能性があります。

・被害の甚大な南部「イラワディ管区」を中心に、ミャンマー政府の支援が届かない人々を対象に生活支援物資(水・食糧とテント等)を配布する。


◆募金受付を開始いたしました◆

年末に発生したバングラデシュ・サイクロン復興支援事業では、多くの皆さまにお力添えいただきましたが、今回の未曾有の災害に際しても一人でも多くの被災者の支えとなるべく努めていきたいと思います。改めて皆様にご支援をお願い申し上げます。

■募金受付の郵便振替口座■

加入者名:社団法人シャンティ国際ボランティア会     

口座番号:00150-9-61724

※通信欄に「ミャンマー・サイクロン」とご記入ください

※郵便局からの振り込み手数料は免除されます

■本件に関するお問い合わせ■

(社)シャンティ国際ボランティア会(SVA)東京事務所 

緊急救援担当:白鳥

〒160-0015 東京都新宿区大京町31慈母会館2・3F

TEL:03-5360-1233

FAX:03-5360-1220 

URL:http://www.sva.or.jp/

E-mail:eru@sva.or.jp(小文字にしてください)

◇シャンティ国際ボランティア会とは?

「シャンティ」はサンスクリット語で平和と寂静を意味します。

1981年、タイのカンボジア難民キャンプで活動をスタートし、現在はタイ、ラオス、カンボジア、アフガニスタン、タイ国内のミャンマー(ビルマ)難民キャンプに事務所をおき、子どもの教育、文化の支援活動に取り組んでいるNGOです。国内外の災害救援、復興支援活動も行っています。

1999年に社団法人となり、特定公益増進法人として外務省より認可されています。

----転載終わり----

自衛隊派遣ありきの「対案」なんて意味あるの?2007年12月11日

人道支援に限っても,自衛隊を派遣することはやめるべきではないでしょうか・・・。

補給支援法 民主、対案まとめる 今国会への提出見送り

民主党の外務防衛部門会議は11日、政府の補給支援特別措置法案の対案として、「アフガニスタンの復興支援等に関する特別措置法案」をまとめた。活動内容を医療や生活物資配布などの人道復興支援に限って、アフガニスタンに自衛隊を派遣する。アフガンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)の根拠となっている国連安保理決議1386に基づく派遣と位置づける。ただし、武力行使を伴うISAF本体への参加は見送る方針だ。

アフガニスタンで活動を行っている復興支援NGOが行った以下の要望について,民主党の人たちはどう考えているのでしょうか?

JVC~アフガニスタン復興支援に対し、NGOからの要望を各党に伝えました

11月27日(火)、衆議院議員会館にて開かれた超党派議員の勉強会にて、アフガニスタンで活動するNGOが日本のアフガニスタンに対する支援に関し要望を訴えました。要望はJVCなど5団体(※注:カレーズの会特定非営利活動法人ジェン(JEN)社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)特定非営利活動法人ピース ウィンズ・ジャパン(PWJ))の連名によるもので、軍事的な支援でなく文民による復興支援の重要性を訴えています。

NGOの要望では,ISAF(国際治安支援部隊)もISAF傘下のPRT(地域復興チーム)による復興支援活動も現地では軍隊による活動と見られることが多く現地住民の信頼を得られていないこと,現地住民にNGO等とPRTの活動が混同され,PRTの活動によりNGOが攻撃対象となる可能性が高まったことが指摘されています。

私は上記NGOの1つであるSVAの現地スタッフの報告会を聞いたことがありますが,日本はこれまで自衛隊をアフガニスタンに派遣してこなかったことが,日本のNGOスタッフが現地の人々の信頼を勝ち得てきた要因となっているということでした。

民主党案では,停戦合意が成立している地域や

人道復興支援活動に対する妨害により住民に被害が生じることがないと認められる地域

などに限って活動するとしていますが,たとえ復興支援活動であっても軍隊が行っているということで信頼されない状況が作られるわけですから,それまで平和だったからといって自衛隊派遣後も平和であるとは限らないでしょう。

「国連決議」があればいいとか「人道復興支援」であればいいとかいった言葉遊びや,自衛隊派遣のための「対案」づくりはやめるべきではないでしょうか。

任期付職員募集要項から垣間見るNPO制度見直しの問題点2007年05月18日

先日日弁連から来たメールマガジンに以前の勤務先(当時は経企庁)の募集が載っていたので日弁連サイト内の募集要項(会員専用ページ)をチェックしてしまいました。以前も同様の募集があったように記憶していますが,企業法務などの実務と縁遠いから人気がないのでしょうか。

任期付職員(内閣府国民生活局総務課)の採用について

内閣府国民生活局において下記の要領で任期付職員1名の募集が行われていますので、お知らせします。

1. 職務内容

国民生活局が所管する各種法制度に関する個別の立案、解釈、運用等を行うにあたっては、国民生活行政の観点から、所管法制全体を勘案した適切な判断が必要となっている。

今回採用を予定している任期付職員には、司法分野での専門的知見を活かし、国民生活行政に関連する法制度全体との整合性、有機的関連性を照合しつつ、現在国民生活局で取り組んでいる政策の企画立案、運用等を行っていただきたい。

その際、現在懸案となっている以下の問題について、特に重点的に御担当いただきたい。

○ NPO法人制度の適切な運用

市民活動の促進に関し、とりわけ行政でも営利企業でもない第三の主体であるNPO法人は、国民の多様な要望に応え得る組織として、大きな役割を期待されている。

1998年12月のNPO法施行から8年以上が経過し、認証されたNPO法人数も 約3万となる(2007年1月末現在)など制度の定着化がみられ、今後も、法人数は一層増加していくと見込まれている。その一方で、法人格の取得が比較的容易であることもあって、特定非営利活動を主たる活動としない法人、公益に反するおそれのある法人などが増加しているのも実情である。こうした法人を放置しておけば、健全なNPO法人の活動にも支障をきたし、ひいては市民活動全体の発展まで阻害されかねない。

このような状況に対処していくためには、NPO法人制度の適切な運用、すなわち、認証時の判断基準の明確化あるいは監督時の改善命令発動基準の明確化、暴力団排除の実効性確保などが重要であることから、これらの課題に対する措置について検討・具体化を行う。

加えて、NPO法人の情報開示を一層促進していく観点から、法人に関する情報を総合的に検索することのできるシステムの拡充や、NPO法人が準拠すべき会計基準の策定などの検討・具体化を行う。

また先般、公益法人制度が抜本的に見直され、2006年5月に公益法人制度改革関連法として成立した。この新たな公益法人制度の中で、NPO法人制度は引き続き存置することとされたが、大きく変わることとなった非営利法人に係る体系の中でのNPO法人制度のあり方が課題となっている。こうした状況の下、NPO法の改正も含めた対応について検討・具体化を行う。

2.任期(以下略)

上記募集要項中の記載でまず気になるのが,

NPO法人制度の適切な運用、すなわち、認証時の判断基準の明確化あるいは監督時の改善命令発動基準の明確化、暴力団排除の実効性確保などが重要であることから、これらの課題に対する措置について検討・具体化を行う。

という部分です。

NPO法制定の際には,認証時の判断基準,監督時の改善命令発動基準などについて,政府の恣意性を排除するために,極力法律本体の中に書き込むこととされ,政令,省令への委任は極力排除されています。

それでもなおあいまいな部分は残ったのですが,今回そのようなあいまいな部分を明確化するという場合,法律の改正で対応するのでしょうか。政令や省令によるということだとNPO法立法者の意思に正面から反するので,それは避けるべき楊に思いますが・・。

また,

法人に関する情報を総合的に検索することのできるシステムの拡充や、NPO法人が準拠すべき会計基準の策定などの検討・具体化を行う。

とされている点についても,徒らにNPOの事務的負担を増やさないか気になります。

そもそも,行政の裁量を極力排除するという見地から議員立法という形で制定された法律について,行政庁が改正法案を検討するというのはどうなのか?という気がします。国会議員が中心になって改正法の検討を進めるべきではないでしょうか。

社会奉仕活動の大学入試資格化とNGO2006年09月19日

ちょっと前のニュースですが・・・。

国公立大学の入学時期、9月を検討 安倍官房長官Sankei Web

安倍晋三官房長官は30日、政権構想の柱となる「教育再生」の一環として、国公立大学の入学時期を9月に変更し、高校卒業から大学入学までの間に社会奉仕活動を義務付ける改革案の検討を始めた。安倍氏は子供の学力向上だけでなく、教育を通じたモラルの回復が不可欠だとみて、こうした改革が必要と判断。首相直属で設置する「教育改革推進会議」(仮称)で、具体案を取りまとめる。

社会奉仕活動というのはどのような活動を念頭に置いているのでしょうか?高齢者介護,障碍者介護など福祉の現場が念頭に置かれているのかも知れません。では,国際協力NGOで海外スタッフとして派遣されたりすることは含まれないのでしょうか。また,そのようなNGOで,機関誌発送等の事務作業を手伝う作業を行うことはどうでしょう。

ところで,社会奉仕活動(ボランティア)を行ったことが大学入学資格になるとすると,その活動を行ったことを証明する存在が必要です。一般的には,その活動を行った場所(団体)が証明することになるのでしょう。

ではその証明はどんな団体でも可能なのでしょうか?

大学入学資格の有無を決めるものである以上,どんな団体でも出せるというわけにはいかないということになるでしょう。そうすると次に出てくるのは,大学入学資格を与える社会奉仕活動を行っている団体をどこかが認証するという話になってきます。すると,認証を行う機関を独立行政法人で・・とかいうことになるのではないでしょうか(各大学が認証するという途も考えられますが,大学は併願されることが多い状況を考えると難しいような気もします。)。

では,このような認証機関による認証は,どんな基準で行われるのでしょう。学生があるNGOで働きたい(社会奉仕活動をしたい!)と思っても,そのNGOが政府の政策に反対することの多いNGOであったがために認証を受けられない,ということはないのでしょうか?たとえば,障害者自立支援法の制定に強硬に反対していた障碍者支援団体や,イラクへの自衛隊派遣に反対していた国際協力団体には認証を与えないということにならないでしょうか。政府の施策に反対するか否かで,受験資格を証明できるか否かが決まるという点で,政府(直接には認証機関)によるNGOの選別が行われるということです。

こうした団体からすれば国策遂行のための大学受験者受け入れはごめんだということで,認証を受けられなくても結構ということなのかもしれませんが,受け入れ団体を選ぶ幅が狭まるということで受験生には不幸なことです。

(もっとも,こうした認証の問題などは提案者の脳裏にはなく,単に,無償の労働力を徴用でき,あわよくば社会福祉に関する費用の増大防止に結びつけようということしかないのかもしれません。でも,上記のようなことに考えが及ばないこと自体,社会奉仕は国策に従って当然ということの裏返しで,問題のような気もします。)

社会奉仕活動の義務化は,大学受験者に労役上の,また,経済的な負担をも押しつけるもので忌むべきものですが(この点については飯田先生のブログ(その1その2)で詳細に述べられています。),受け入れ側のNGOの事務負担の増大や,上述したようなNGOの選別に使われる危険性にも目が向けられるように思います。

参考 安倍政権で教育はめちゃくちゃに! おそろしい未来図ろーやーずくらぶ