<司法修習卒業試験>落第者向けの追試を廃止 最高裁2007年01月19日

本当に廃止していいんでしょうか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070118-00000138-mai-soci

司法試験合格者が専門知識を学ぶ「司法修習」の卒業試験で落第者が急増しているが、最高裁の「司法修習生考試委員会」は落第者を救済するための「追試」を廃止することを決めた。委員会が「最低水準に達していない修習生を追試で救済するのはふさわしくない」と判断したため。

司法修習二回試験の追試廃止は筋違いではないかでも述べたように,これまでやってきた追試を廃止する合理的理由はないように思います。

報じられている司法修習生考試委員会の判断内容によれば,追試で「救済」されてきた人は追試合格時点でも「最低水準に達していない」ということになりますが,そうすると,最高裁はこれまで,「最低水準に達していない」者が法曹となることを認めてきたことになります。そんなふうに解される発言を最高裁がしてよいのでしょうか。本試験で留保となり,その後追試に合格した人が必ずしも法曹としての適格性を欠いているとは思えないのですが・・・。

コメント

_ やむ無しでは? ― 2007年01月21日 19時17分53秒

こんにちは。
たまたま通りかかった5○期のものですが,書き込ませていただきます。
さんけんさんも書かれているとおり,
最高裁は,教育機関としての立場を放棄したのだと思われます。
本来司法研修所が担うべき増員分の修習生に対する教育の費用は,法科大学院に注入されてしまったのですから,従前の費用でまかなえるのはここまでなのではないでしょうか?
予算の裏付け的な側面からもご一考いただければ幸いです。

_ ノムラ ― 2007年01月21日 20時59分41秒

>やむ無しでは?さん

追試を廃止すると,二回試験で不合格となった人は次の期の司法修習の後期から受け直した上で,翌年の二回試験を受けることとなるようです。
http://d.hatena.ne.jp/atsuhirolaw/20070118#1169070928
費用面で,追試を行って卒業させるためにかかる費用は,不合格者について翌年の後期修習を受講させるためにかかる費用(今回の例でいけば,91人分)よりも小さいように思うのですが・・。

費用の点から言えば,追試験に合格しなかった場合には法曹資格を一生得られないとすることが合理的ということになるのでしょうが,司法試験にせっかく合格したのに1回又は2回の試験で法曹への途をたたれるというのは酷にすぎるでしょう。追試で早期に卒業する機会を与えるのが妥当なように思います。

法科大学院関連予算との関係では,法曹になれる可能性の少ない法科大学院生より法曹になる蓋然性の高い司法修習生に重点的に予算を振り分けるべきように思うのですが,そのような考え方は主流ではないようですね・・・。

_ やむ無しでは? ― 2007年01月21日 23時54分39秒

レスありがとうございます。

ご意見一理あると思いますが,
今後は後期修習には編入させてもらえないのではないですか?事実を確認したわけではないですが。
ただ,編入させてもらえるとしても,
給料は支給されないでしょうから,
二回試験用の記録の編纂の手間(教官の報酬)に比して,
ずいぶんと費用は削減されると思います。
修習生が早期に実務に出られないと不利益は,
自己責任として甘受せよという,最高裁の政策決定なのだと思います。
法科大学院にばかり予算が付いて,
司法研修所に回らない以上,やむを得ない面があると私はおもいます。

_ ノムラ ― 2007年01月23日 19時43分07秒

>やむ無しでは?さん
費用の点はおっしゃる通りかもしれませんね。
ただ,
>修習生が早期に実務に出られないと不利益は,
>自己責任として甘受せよという,最高裁の政策決定なのだと思います。
という点については,自分たちの時には無かった不利益を後生には課すというのはひどいのではないか,という気がします。
特に,修習期間が短縮されたとはいえこれまでと同じルートで来た旧試験受験者にとっては。

今回の最高裁のねらいは,費用削減というよりもむしろ,新司法試験合格者を司法研修所に迎え入れる準備で忙しい11,12月という時期に追試に回す人手はないということ(つまりサボタージュ)の正当化にあるのではないかと感じています。

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