「終末期医療に関するガイドライン(たたき台)」の問題点2007年06月19日

第二東京弁護士会のサイトに,厚生労働省が意見を募集した「終末期医療に関するガイドライン(たたき台)」に対する人権擁護委員会の意見書(PDF)が公開されています。

この意見書では上記ガイドラインに併せて,日本尊厳死協会が2003年12月に公表した「尊厳死に関する法律要綱案」と,尊厳死法制化を考える議員連盟が2005年11月に公表した「尊厳死の法制化に関する要綱骨子案」についても意見を述べています。

意見書では,「尊厳死」「延命」と言った用語自体がミスリーディングな用語ではないか,尊厳死を認めることは患者の生命権を侵害するものではないかなどの観点から,上記ガイドライン案や要綱案,骨子案を批判的に検討しています。

電磁波の健康被害~WHOが認めた研究結果を葬り去ろうとした文部科学省2007年06月19日

文部科学省はどう考えているのでしょうか?

WHO、電磁波対策の法整備を勧告NIKKEI NET

WHOは、具体的な規制値は示さなかったものの、日本や米国などでの疫学調査から「常時平均0.3―0.4マイクロテスラ(テスラは磁界や磁石の強さを表す単位)以上の電磁波にさらされていると小児白血病の発症率が2倍になる」との研究結果を支持。「電磁波と健康被害の直接の因果関係は認められないが、関連は否定できず、予防的な対策が必要だ」と結論づけた。

落合弁護士のブログ経由で知りました。)

上記報告書で挙げられている「日本・・での疫学調査」とは,生活環境中電磁界による小児の健康リスク評価に関する研究(概要はこちら,詳細報告本文はこちら)です。

この研究では,電磁波の小児の健康に及ぼす影響に関して,寝室での磁界レベルが0.4マイクロテスラ以上になると,小児白血病のリスクが2.6倍になるという結果が示されていました。

ところが,この研究に科学技術振興調整費という形で資金を出した文部科学省は,こちらにあるような,極めて低い評価を下しました。評価項目の全てにわたり,3段階評価で最低ランクのC評価をつけたのです。

このような評価が下ったいきさつについてはこちらの読売の記事(安全?危険?電磁波(3)葬られた疫学からの警鐘)で詳しく述べられていますが(よく取材されていると感心しました。),調査研究結果の影響をできる限り矮小化して葬り去ろうという役所や電力業界の意図がうかがえます。

幸い,この研究結果はその後専門誌に掲載され(専門誌に載るには査読を得なければならないので,掲載によって研究結果の信憑性が認められたということになるそうです。),そしてこの度WHOの環境保健基準でも取り上げられるようになりました。

市民団体からは企業寄りと批判されることもあるWHOですが,そのようなWHOさえ認めるに至った研究を文部科学省が葬り去ろうとしていたことは,今後の文部科学行政を見つめる上で忘れてはならないことでしょう。

追記

今回のWHOの報告は,こちらに掲載されています。ただし英文ですが・・。