何をどうCHANGEするのかが重要では?2008年06月04日

テレビ視聴率:「CHANGE」、初の20%割れ 中田、W杯予選に押される毎日.jp

「CHANGE」は、平凡な教師だった朝倉(木村さん)が、政治家だった父の死を機に選挙に立候補し、総理大臣になるという物語。5月26日放送の第3回は22.4%と、仲間由紀恵さん主演のテレビドラマ「ごくせん」(日本テレビ系)を抜くなど好調だったが、日本-オマーン戦は、岡田武史監督の更迭問題がささやかれていた国民の関心事だったこともあり、さしものキムタク総理も一休みとなったようだ。

与党の二世議員の話と聞いた時点で,小政党(当時は与党でしたが・・)所属議員に仕えていた身としては見る気が失せました。

ところでCHANGEといって私が思い出すのは,16年前の米国大統領選挙の際のクリントン候補のキャッチフレーズです。彼はこのキャッチフレーズで勝利をもぎ取ったように記憶しています。もっとも当時私はメディアでこの選挙戦の報道を見て,ブッシュ(現大統領の父親)候補の,「Change for change」といった非難の方が当たっているように思いました。

現状が閉塞感に満ちているときに,CHANGEとか改革とか,人々は変化を表す言葉につられてしまいがちなように思います。でも,何をどう,何のために変えていくのかが重要なのであって,単に現状が気に入らんからとりあえず変えてしまえ,では,却ってめざしていたのとは別の方向に変えられてしまうおそれだって大です。小選挙区制導入に終わった政治改革,地方交付税の削減と市町村合併に終わった地方分権など,過去に「改革」の名の下になされたことがいかなる結果に終わったかをよく踏まえながら,「改革」という言葉に対応していくべきでしょう。

これは私の属する業界に関連する「司法改革」についても同じです。現行の裁判制度が絶望的だからといって,日弁連が財界や新自由主義論者と共に「司法改革」を唱えた状況は,まさに「Change for change」とも言うべき状態であり,その「改革」の行き着く先について余りにも無頓着だったのではないでしょうか。

弁護士激増や新法曹養成制度をめぐる混乱など,「司法改革」の弊害が明らかになりつつある現状においてもなお,日弁連をはじめとする多くの弁護士会は,司法改革を後退させるなという非難を受けることを怖がっているようです。確かに,「Change for change」という揶揄を行ったブッシュ候補がクリントン候補に敗れたように,「改革」「Change」という言葉の魔力は強いものがあり,弁護士会執行部がおびえるのも理解できないではありません。でも,そんなキャッチフレーズに寄りかかっているような弁護士や弁護士会に,人権擁護の職責が果たせるようには思えないのですが・・・。むしろ,今の弁護士会には,「改革なんぼのもんじゃ」「改革,ハァ?」といって立ち上がっていく気概が必要とされているように思います。

まあ,一番の元凶は改革をもてはやすマスメディアにあるのでしょうけれども。