ザ・コーヴ騒動について思うこと(ネタバレあり)2010年06月22日

昨日弁護士会館に出向いたところ,ザ・コーヴという映画に関するシンポジウムが開催されていた。

今日事務所に出たら,シンポジウムでか,関係者宛にということでか配られたとおぼしき同映画のパンフが。

パンフを見たが,この映画で表現されている点で注目すべき点があるとすれば,他の食物であれば規制値を超えることとなる量の水銀がイルカの肉に含まれている,それが学校給食にも使われていた,ということだろう。

これが,キケンなイルカを食べさせるな,と言うのならば,その趣旨にもうなずけなくはない。ただ,それはイルカ漁の是非とは別の話のはずである。また,イルカを鯨と表示しているというシーンもあったが,それ自体は食品表示の問題で,イルカ漁の是非とは別である。しかしこの映画では,水銀の話,食品表示の話に,さらに,イルカの屠殺のシーンが組み合わされていることで,イルカ漁への否定的評価が観客にすり込まれるようになっていると感じた。表現の自由は重要だから上映中止などはおかしいと思うが,公正な表現ではなさそうだなと感じるものだ。

ちなみにイルカが水銀に汚染されているのが問題だというアピールがなされていると知って私が思ったのは

水銀に汚染されていないイルカの肉が食べたい

ということだった。

食物連鎖の最上層に属するイルカだから自然に水銀が蓄積されてしまうのか,規制値を超える値まで蓄積されるのは海洋汚染が激しく進んだことによるのか。そういったところにも目を向けて,どうやったら汚染されていないイルカ肉が入手できるのか,といったところにも触れてくれれば評価できる映画になったかもしれないのにと思う。