懸賞品は景品ではないのか?2005年11月06日

少し前の記事ですが,なんか誤解を生みかねない内容ですね。

ペプシおまけのガンダムは「懸賞品」…公取委が注意(読売新聞。現在はリンク切れ。Googleのキャッシュはこちら

清涼飲料水「ペプシツイスト」などのおまけをめぐり、同飲料水を製造・販売しているサントリー(大阪市)が公正取引委員会から、景品表示法違反の疑いがあると注意を受けていたことが、25日わかった。

(中略)

サントリーは2003年9月から、32種類の「ガンダム」の模型のうちいずれか1種類を袋入りのおまけにして、「ペプシツイスト」ボトル缶などの販売を始めた。おまけは全商品についていれば、通常は「景品」とされるが、ペプシの場合、いくら商品を買っても全種類を集め切れるかどうかは運に左右されるため、公取委は「懸賞品」と認定。懸賞品の価格は商品価格の2%以下でなければならないが、今回はこの制限を超えていたという。

上記の記事だと,「景品」か,「懸賞品」かは,二者択一的なもののように読めます。

しかし,本件の「懸賞品」は,法律上は,懸賞の方法により提供される「景品」(法律上は「景品類」といいます。)のことであって,懸賞品だからといって景品に当たらなくなるものではありません。公正取引委員会の出した注意や要請の内容が具体的にどのようなものか分かりませんが,「懸賞品」というのは法律上の用語ではないですし,公取が「『懸賞品』と認定」するという言い回しをすることはないと思います。

もっとも,他社も以下のように「懸賞品」という言い方をしており,正確さよりもわかりやすさをねらったのかもしれませんが・・。

仮に「懸賞品」ではない「景品」だとしても,商品の価格の10パーセント(商品の値段が1000円未満のときは100円)以下の価値のものしか出せないという規制があります。この点毎日新聞の記事はきちんと指摘していますが,それではペプシにつけられていた「おまけ」は100円以下の価値しかないものなのでしょうか。サンスポの記事につけられている写真を見る限りでは微妙です。レアものがあり,

全種類そろった模型は、ネットオークションで10万円前後で売買されているという。(前出の読売記事)

ということからすると,100円を超えていると判断される可能性も否定できないでしょう。

こう考えてみると,「懸賞品」でない「景品」,つまり懸賞の方法によらないで提供される景品類だとしても,法律に違反するおそれはぬぐいきれません。

本件のような場合の「おまけ」が適法だというためには,「おまけ」がペプシツイスト本体と一体となって一つの商品を構成している,とか,キャラクター模型はペプシツイストの付属品である,といったように,「おまけ」は景品類に当たらないという構成をとる必要があります。

新聞業界は景品類を顧客に提供することが長らく禁じられてきた業界ですが,そうだからと言って,いや,そうだからこそ,景品の規制について知らないというのでは済まされないと思います。

ところで,今回の注意は,懸賞の方法によって提供する景品類の「総額」の規制に反するとして行われています。この総額規制については別稿であらためて考えてみることとします。

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_ さんけんブログ - 2005年12月25日 00時34分53秒

[[以前とりあげた:http://nomura.asablo.jp/blog/2005/11/07/133288]]ペプシのおまけの件ですが,懸賞による景品の提供とみなされて,景品の提供総額の規制に抵触するということで問題にされていま