弁護士会の日本司法支援センター(法テラス)への奉仕活動について ― 2006年10月11日
この10月から日本司法支援センターが開業しているが,ここには弁護士が「オペレーターアドバイザー」として派遣されている。
このアドバイザー,今年6月末ころに弁護士会から募集のファクシミリが届いていたが,それによれば,派遣費用は,1コマ2時間30分で,1回当たりの日当が1万2600円であるという。
超初級革命講座さんによれば,時給1900円以上だすつもりはないとのことだから,少なくとも
12600-1900×2.5=7850円
が1コマ当たり弁護士会から補てんされる金員ということになるのだろうか。
各コマ3名,1日9人体制で,月曜日から土曜日まで週6回行われるということなので,1年間52週とすると,
7850円×9×6×52=2204万2800円
が弁護士会から補てんされる計算となる。
法テラスで働く弁護士に対する弁護士の支援はまだある。
弁護士会会費については,法テラスが支給するのが原則だが,その額には上限があるという。その上限を超える部分の負担について,各弁護士会に,会費の減免などの形で配慮してほしい旨日弁連が要請したということが,先日の日弁連速報に載っていた。
会費とは異なるが,私の所属する弁護士会でも,今年3月の常議員会において,日本司法支援センターに常時勤務する弁護士に対しては,入会金や会館特別会費(弁護士会館建設・維持のための費用)の支払を猶予するという会規の改定がなされた。転勤ごとに弁護士会を替わることとなるので,その度に入会金か会館特別会費を支払っていては大変だというのがその理由であった。
だが,弁護士法人に勤務する弁護士が地方の支所に勤務を命じられた場合にも同様の状況は生じるのに,日本司法支援センター勤務の場合を特別扱いする理由が不分明だし,転勤を命じることによってスタッフ弁護士に負担が生じるのであれば,それは雇い主である日本司法支援センターが負担するのが筋ではないか。
何年で転勤になることが想定されているのかと常議員会で質問したところ,はっきりしない答え。5年間くらいいるのであれば,入会金を負担させてもおかしくない。弁護士が弁護士会に所属して活動していくに当たっては入会金の支払が不可欠であると日本司法支援センターに主張し,給与に入会金分の上乗せを働きかけるようにすべきだろう。
日本司法支援センターのために働く弁護士の支援だけでなく,日本司法支援センターという組織自体への便宜供与もすさまじい。
東京の霞ヶ関にある弁護士会館の3階は,9月まで,その3分の1が法律扶助協会,残り3分の2が東京三弁護士会の法律相談センターとなっていた。ところが,10月以降,東京三弁護士会の法律相談センターが大幅に縮小され,日本司法支援センターが入り込むこととなった。法律相談も行われているようだ。
一方,弁護士会がそれまで行っていた法律相談は,そのほとんどが,四谷の日本司法支援センター東京地方事務所(法テラス東京)の入っているビルに間借りして行われることとなった(法テラス東京は1~3階。弁護士会法律相談センターは2階。)。そのために弁護士会が支払う賃料もかなり膨大なものだった(額は失念した。)。霞ヶ関の一等地に自社ビルを持ちながらそこを明け渡して賃料を支払うというのはどうなんだろう?霞ヶ関の3階を使わせていることへの対価はどの程度取っているのだろうか?
それにしても,弁護士会はどこまで日本司法支援センターに奉仕しなければならないのだろう。日本司法支援センターが弁護士,弁護士会に対しきちんとした対価を支払おうとしないのであれば,そのことを明らかにした上で場合によっては協力拒否という措置を取っていくべきであり,「よりよい法テラス」のために協力をなどといつまでも言っていてはむしり取られる一方のように思う。
コメント
_ h ― 2006年10月13日 01時27分50秒
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